パンや菓子で感染も 「ノロウイルス」で苦しむのはこんな人

 全国でトラブルを起こす食中毒の中で、患者数はノロウイルスが最も多い。この冬は、宮崎や石川などで集団感染による死亡事故が相次いでいる。

 9日は埼玉のすしチェーン「がってん寿司 行田店」で感染した24人のうち、70代の男性が死亡していたことが発覚した。

「男性は2日にこの店で食事をしてから下痢や嘔吐(おうと)に苦しみ、4日に受診した病院で簡易検査を受けたところ、ノロウイルスは陰性でした。ところが、6日に心肺停止状態になって救急搬送され、死亡が確認されたため、食中毒との因果関係を調べています」(県食品安全課)

 簡易検査の“的中率”は8割ほど。結果が「陰性」だってうのみにできないが、もしノロが原因とすれば見逃せないことがある。

 実は、ノロで亡くなるのは、嘔吐したものを喉に詰まらせる窒息や、嘔吐したものが気管に入る誤嚥(ごえん)性肺炎が死因になる。つまり、のみ下す力の衰えが大きいのだが、今回は寿司屋で食事しているように、のみ下す力はあったはず。

 ノロは、元気な人の命も奪うのか。米山医院院長の米山公啓氏が言う。
「十分ありえます。症状は通常2日ほどで治まりますが、中には1~2週間続くことがある。その間、つらい症状を嫌って飲まず食わずでいると、脱水し、栄養状態が悪くなります。35歳のある患者さんは、それで重度の肝機能低下を起こし、命を落とす寸前で、2週間の入院を余儀なくされました。元気バリバリの30代でこれですから、対応を誤ると年齢に関係なく危ない。飲まず食わずの方は病院で点滴を受けることです」

 もうひとつは感染源が生モノに限らないこと。
「これまでの集団感染事件では、パンや菓子が原因になったことがあります」(米山氏)

 家族を看病したときなどにノロが手などにつくと、ドアノブや蛇口、受話器、TVやエアコンなどのリモコン、PCのキーボード、机、筆記具などありとあらゆるところに付着して、感染を広げる。

 家族や同僚を看病したときは、面倒でもよく手を洗うことだ。

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