“最凶”寒波でこじらせる人急増 「しもやけ」の正しい対策

 2月に入り、大雪に2度も襲われた関東だが、この記録的な寒さにより患者数が増えているのが「しもやけ」だ。いや、増えているだけじゃない。しもやけをこじらせている人も多いのだ。川端皮膚科クリニック・川端康浩院長に話を聞いた。

■潰瘍にまでなる人も…

「しもやけは、最低気温が5度を下回り、1日の気温差が10度以上になると、温度差によって血管の収縮時に障害が起こって発症しやすくなります。今年は最強寒波襲来の年。平均気温も大幅に平年を下回っている地域が多い。それが、しもやけが増えている原因です」

“たかがしもやけ”と侮ってはいけない。足や手の指がパンパンに腫れ、日常生活に支障が出たり、いつもの靴が履けなくなる。耐え難いかゆみや痛みがある。ひどくなると、患部が赤く膨張し、水ぶくれになって崩れて潰瘍になることも……。ここまでいくと、完全に治るまで時間がかかる。

「しもやけが一般的だった時代は、軽症のうちに市販薬を塗るなど対策を講じる人がほとんどでした。しかし近年は、しもやけ自体を知らない人もいて、気付きにくく、重症化してしまうこともあるのです」

 Aさん(50)は、布団に入ると足がかゆいので水虫だと思っていた。
 水虫の市販薬を塗ったが、よくなるどころか、かえってかゆみと赤い腫れが増した。夜、寝ている時、無意識に患部をかきむしっているようで、皮膚もボロボロになった。それでも塗り続けると、皮膚が裂けてウミが出てきた。皮膚科を受診すると、水虫ではなく、しもやけをかきむしって化膿(かのう)させてしまったものだと言われた。結局、症状が軽減するまで1カ月近くかかった。

「Aさんのように、しもやけを水虫と間違える人は少なくありません。かゆいからとかゆみ止め薬で何とかしようとする人もいます。しかし、しもやけは血行不良によって起こっている病気なので、水虫薬やかゆみ止め薬では、よくなるどころか、悪化させてしまうこともあります」
 しもやけの正しい対策は2つだ。

 まず、血行をよくする生活習慣を心掛ける。
「夜は手足を伸ばしてゆっくり湯船に漬かり、風呂から上がったら、市販のビタミンE入りクリームを手足に塗る。さらに、マッサージをするとより効果的です」

 次に、温度差や濡れた状態、蒸れを減らす。
「屋外では、手袋や耳あてなどの防寒具をつけて、手、足、耳たぶなどの末梢(まっしょう)部分の露出を極力減らします。帰宅後は、暖房器具の近くで手足を温めようとすると、温度差が生じてかえってかゆくなってしまうので、お風呂に漬かるなどしてゆっくりと温めることがお勧めです」

 雨や雪で通勤時に靴下が湿った時は、そのまま放置せず、はき替える。
「保温機能の高い靴下は屋外ではいいですが、暖房の効いた屋内では汗をかき、蒸れやすくなります」

 しもやけになりやすい人、悪化しやすい人は、いくつかの共通点がある。(1)両親、祖父母など身内にしもやけになった人がいる(2)普段から手足が冷たい(3)冷たい風に当たると耳たぶがジンジンと痛くなる(4)手足に汗をかく――の4項目のうち、1つでも当てはまる人は、要注意だ。

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