健康医療データの読み方

痩せていく子供たち

 子供の肥満が増えているといわれています。メタボ関連学会や製薬会社、健診業者などがさかんに情報を流しています。しかし大学生に限れば、肥満はほとんどいないというのが私の実感です。むしろ年々痩せてきたようにさえ映ります。

 そこで文部科学省の学校保健統計調査を調べたところ、私の感覚のほうが正しそうだ、ということが分かりました。

 調査対象は幼稚園児(5歳)から高校3年生(17歳)までの各年齢。独自の計算式で肥満度を算出し、ある値よりも高いものを「肥満傾向児」と呼んでいます。

 統計によれば、最近数年間にわたって、ほとんどすべての年齢で肥満傾向児の割合が減っていることが分かりました。データが揃っている2006年と2013年の数字で比較してみましょう。たとえば17歳男子。肥満傾向児の割合は12.9%から10.85%に減っています。17歳女子でも9.67%から7.83%に減りました。

 逆に痩せすぎの子供が増えています。同じ調査で数値が低いものを「痩身傾向児」と呼んでいますが、その割合は増えつつあります。17歳男子では1.39%から1.84%、17歳女子は1.23%から1.72%という具合です。

 年々スリムになった子供たちが入学してくるのですから、大学生が少しずつ痩せてきたように感じるのは当然です。メタボより食育。子供たちには、もっと身になるものを食べさせてあげるべきです。

▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

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