病気になりたくなければ怒りを手放せ

紙に書いて破って浄化

「トラウマ」という言葉があるように、激しい怒りはしつこく心にくすぶり続けます。沈静化したと思っても、また何かのきっかけで沸々と心の中で怒りが再燃してくるのです。そして、その怒りにとらわれてしまうと、目の前のやるべきことに集中できなくなったり、冷静な判断力が鈍ったりします。

 そこで、簡単にできる怒りの浄化法をご紹介しましょう。まず、紙に自分の怒りをじっくり具体的に書き上げてみます。例えば「あの一斉メールはなんなんだよ。俺に文句があれば直接言え。会うと目も合わせられないくらい小心者のくせして。人の揚げ足取りのくだらない文句をわざわざ一斉メールで流すな。卑怯(ひきょう)者め……」などと、思いの丈を紙にぶつけてください。

 思う存分、紙に怒りの気持ちを書いた後、思いっきり勢いよくビリビリと細かく破きます。ビリビリと破くとき、「この嫌な感情には、はい、これでおさらば!」「バカなやつに心を乱されるのはおしまい! さあ、自分に役に立つことにエネルギーを使うぞ!」などと声に出して言ってみましょう。人目があるときは心の中でつぶやくだけでもOK。すると、ネガティブな怒りにとらわれていた心を前向きにリセットしやすくなります。

 男性は気持ちを言葉に表す作業が女性より苦手です。女性は男性よりも言語能力が発達しているため、すぐに感情を言葉に変換できます。そのため、女性は「おしゃべりでストレス発散」が可能なのです。

 しかし男性は、気持ちを言語化するのにとても時間がかかります。だからこそ嫌な感情が心に悶々とたまったら、「じっくり書いてビリビリ破く」方法が特におすすめなのです。ぜひ試してみてください。

▽奥田弘美(おくだ・ひろみ) 精神科医。日本医師会認定産業医。山口大学医学部卒。都内20カ所の企業でビジネスパーソンの心身のケアを行いながら、「銀座スキンクリニック」ではコーチング・カウンセリングも行う。著書多数。5月16日には新著「女医が教える 働く男の怒りと疲れをパワーに変える処方箋」(メディカルトリビューン)を発売。