病気になりたくなければ怒りを手放せ

「怒りのボール」を放り投げる

 前回に引き続き、長引く怒りの浄化法を紹介します。今回は「体を使うイメージング」です。

 腹の立つシーンや嫌なヤツから受けた屈辱がよみがえって怒りがフツフツ再燃してきたら? そんな時は、まずその気持ちを胸から両手で引き出します。あくまでもイメージですが、実際に手を動かして怒りの気持ちを引き出す動作をしてください。次にその「怒り」をギュッギュッと両手で押し固めてボールを作ります。ボールの色、形、重さなどもできるだけ具体的に想像しながら押し固めてください。「怒りのボール」が完成したら、そのボールを遠くの空へ向かって思い切り放り投げましょう。助走や体のタメをつくって勢いよくエイッ! と遠投するのがコツ。そしてカッコよくこうつぶやいてください。
「成敗は天に任せた!」

 そう、あなたを不快にさせた嫌なヤツらに対して自ら手を下す必要はないのです。お殿様のように「成敗は天に任せた」と堂々と言い放ち、その後は悠々と自分の大切な仕事を始めましょう。

 怒りがしつこく再燃すると、つい「何とか仕返ししてやろう」とか「いつかギャフンと言わせてやる」などと復讐思考に陥りがちです。でも、それは嫌なヤツらに対してあなたの貴重な時間とエネルギーを使ってしまっていることになるのです。すごくもったいないですよね。

 今回の体を使うイメージングは、モヤモヤした嫌な気分をボールにして自分から切り離す自己暗示法です。男性はボールを遠くへ投げるのが得意な方も多いはず。ぜひ不快な気持ちを自分から取り外して勢いよく遠投し、スッキリ爽やかな時間を取り戻してください。

▽奥田弘美(おくだ・ひろみ) 精神科医。日本医師会認定産業医。山口大学医学部卒。都内20カ所の企業でビジネスパーソンの心身のケアを行いながら、「銀座スキンクリニック」ではコーチング・カウンセリングも行う。著書多数。5月16日には新著「女医が教える 働く男の怒りと疲れをパワーに変える処方箋」(メディカルトリビューン)を発売。