大腸がん、脳卒中を予防 いますぐできる5つの「快便法」

厄介な病気の引き金に/(C)日刊ゲンダイ
厄介な病気の引き金に/(C)日刊ゲンダイ

“たかが便秘じゃないか”――便秘を軽く考えている人も多いが、認識を改めた方がいい。

 便秘は厄介な病気を発症させる引き金になるからだ。そこで注目したいのが、誰でも手軽に行えて、即ドッサリ・すっきりできると評判の快便法だ。その提唱者で東邦大学医療センター大森病院総合診療科の瓜田純久教授に、方法と効果を聞いた。

「食事と運動が減少している現代では、男女ともに便秘が急増していますが、侮ってはいけません。最近の研究では便秘と関連する腸内環境の変化が、痔や花粉症などのアレルギー、動脈硬化や脳卒中の原因となる高血圧といった重大病を引き起こしているともいわれているのです」

 とくに気をつけなければならないのは大腸がんだ。大腸がん患者がいる家系の60歳以上の人が便秘に悩まされているとすれば、大腸がんが隠れている可能性があるという。大腸にがんができ、排便がスムーズにいかなくなるからだ。

「最近、患者が急増している大腸憩室疾患も便秘が関係しています。大腸の壁に内側から圧力が加わり、風船のように袋状に外に突出することがあります。これが憩室です。便が詰まって腸内の圧力が加わるとできやすく、それが破れて腹膜炎を起こすと命に関わることがあるのです」

 では、それを解消するにはどうしたらいいのか?

■うつぶせゴロゴロ

「私は常々5つの便秘解消法を勧めています。そのひとつは『うつぶせゴロゴロ』法です。うつぶせ姿勢を10分ほど取ってから、左右にゴロゴロ寝転がるだけ。腸内ガスが抜け、腸の蠕動運動を促します」

 実際、瓜田教授の元に通っていた50代の女性患者は、10代の頃から1週間以上続く便秘に悩まされ続けたが、翌日から即解消したという。

■野菜を過剰に取らない

「一般的に便秘には食物繊維の多い野菜を取るといいといわれています。しかし、これは便秘の人にはNGです。食物繊維は消化液では十分に消化されません。そのため、便秘の人が食物繊維を大量に取ると、他の食品の成分の消化も妨げられ、未消化内容物が増え逆効果。繊維質は排便がスムーズになってから摂取してください」

 糖尿の人が血糖値上昇を抑える食事順序として(1)食物繊維(2)タンパク質(3)炭水化物といわれるが、便秘時は一時的に(3)(2)(1)順序がいいという。ただし長期間野菜を取らないのはダメ。マンゴージュース、パパイアに含まれる糖は消化されにくく軽い下剤作用もあるためお薦め。また日本人特有に下剤作用を引き起こす牛乳も効果的だ。適度なビールも消化活動の活性作用があるのでお薦めだという。

■手足を冷水につける

 交感神経と副交感神経の活動のバランスが整えられ、腸の動きを活発化させる効果があるという。

「寝る前や起床直後に冷たい水道水などで手を洗ったり、足にジャバジャバかけてあげます。冷たくすると交感神経と副交感神経のバランスが変化し、消化管運動に変化が生じて、排便のきっかけとなることがあります」

■肛門をすぼめる

「息を吐き切ったところで、肛門を3回程度キュッと締めます。通勤の途中でもテレビを見ていても、意識さえすればできます。肛門括約筋と骨盤底筋群を鍛えると、便失禁など便秘が引き起こす別の症状を緩和させます」

■通常の食事量を保つ

「成人女性が1日に必要なカロリーは1500~2000キロカロリーといわれていますが、それより極端に少ない人が急増中。一定の食事量がなければ便意を催さず、便秘になるのは当然です」

「便秘は日本の将来を左右する」と言う瓜田教授。5つの快便法で、日本の将来もスッキリさせたいものだ。

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