目が痛み、不快症状続く…眼精疲労解消に効く2つの対策

温タオルを5分/(C)日刊ゲンダイ
温タオルを5分/(C)日刊ゲンダイ

 さまざまなタイプの「ホットアイマスク」が売れている。蒸気や発熱・蓄熱素材を利用して目の周辺を温め、眼精疲労を解消するという。それだけ悩んでいる人も多い。効果的な改善法はあるのか。

 細かい文字を集中して読んだり、長時間のパソコン作業で目が疲れたり、痛んだりした経験は誰しもあるだろう。ほとんどの場合、目を休めれば改善するが、中にはずっと不快な症状が続いたり、肩凝りや頭痛などの体調不良に悩まされるケースがある。そうしたガンコな疲れ目は「眼精疲労」と呼ばれている。

 清澤眼科医院の清澤源弘院長は言う。
「原因はさまざまですが、いちばん多くみられるのはメガネやコンタクトレンズの度数が合っていないことで起こる調節性の眼精疲労です。とりわけ、老眼は40代半ばから急速に進行し、それに合わせるように眼精疲労を訴える患者さんも増えてきます。人間は老化とともに目のピントを合わせる水晶体が硬くなり、水晶体の形や厚さを調節している毛様体という筋肉も衰えます。老眼が進んでいるのにメガネを使用せず、目を凝らすなどして自力でピントを合わせようとすると毛様体が疲労し、眼精疲労を起こすのです」

 対策の第一は自分に合ったメガネを使うこと。それだけで症状が改善される人も多い。いまは遠近両用のメガネもさまざまなタイプがあり、遠・中・近に分かれたものもある。デスクワークが多い人は遠の部分を狭くして、近・中の部分を広くするなどライフスタイルによってメガネの構造が変わってくるので、しっかり検眼したうえで自分に合ったメガネを作るようにしたい。

■症状を悪化させるドライアイ

 ドライアイによる眼精疲労も多い。目の表面を覆って保護している涙の量が不足するなどして均等に行き渡らなくなり、目の表面に傷をつけてしまうことで眼精疲労を起こす。

「ドライアイには、涙液の量が減るタイプと、涙液の3層構造が不安定になるタイプがあり、ほとんどが不安定型です。不安定型は、涙の蒸発を防ぐための油分がうまく分泌されないことが原因になっているケースが多い。油分はまつげの根元にある〈マイボーム腺〉から分泌されますが、加齢によってその機能が衰えたり、詰まってしまうことでドライアイを招きます。それを解消するためには目元を温めてから洗う〈リッドハイジーン〉が効果的です」(清澤院長)

 リッドハイジーンとは「まぶたの衛生」という意味で、多くの眼科医が推奨している。市販のホットアイマスクやスチーマーを使うのもいいが、もっと手軽にできる方法だ。

 洗顔や入浴の前に固く絞った40度程度の温タオルを閉じたまぶたの上に乗せ、そのまま5分ほど目元を温める。すると、マイボーム腺に詰まった油分が溶け出してくるので、目にしみないタイプのアイシャンプーやせっけんで、まつげの付け根を洗い流す。乳幼児用のベビーシャンプーでもいい。さらに、清潔なコットンでまぶたの縁を拭いたり、保湿成分入りの目薬を点眼すれば万全だ。

「目元を温めることは、まぶたの血流をよくして固まって詰まった油を通し、眼精疲労を改善するために効果的です。涙の量も減ってくる40歳を越えた人にはおすすめします。ただし、即効性は求めずに歯を磨くように毎日続けることが大切です。患者さんの多くは、3週間くらい続けるとスッキリして気持ちよくなるといいます」(清澤院長)

 ホットアイマスクが売れているのも、効果を実感している人が多いからだろう。

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