冬場は関連死が急増 「心臓カテーテル治療」5つの疑問

写真はイメージ (C)日刊ゲンダイ
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 冬は心臓病を患う人には危険な季節だ。厚労省の統計によると、心臓病の死亡数は1月がもっとも多く、次いで2月、12月、3月。その大半が心臓の太い血管(冠動脈)が詰まるなどし、心臓の筋肉が酸素不足に陥る冠動脈疾患。代表的な病気の狭心症や心筋梗塞の治療法は冠動脈バイパス手術、薬物療法だが、いまはメスを使わず緊急時に素早く対処できるカテーテル治療が人気だ。2万超の症例数を誇る「千葉メディカルセンタ-」(千葉県千葉市)副院長の青木直人・心臓血管センター長に聞いた。

 カテーテル治療は足の付け根や手首、肘などの動脈から直径2ミリほどの細い管(カテーテル)を心臓の近くまで挿入。狭くなったり、詰まった血管を風船(バルーン)や金属の網状の筒(ステント)で拡張し、心臓の太い動脈(冠動脈)を蘇生させる治療法だ。

■何歳までOK?

「狭心症や心筋梗塞の患者さんが対象。治療器具と技術の進化で年齢の壁を越え、90代の患者さんでも治療が可能です。私が治療した最高齢の患者さんは102歳でした。治療中の死亡率は全国平均で0・1%と極めて低い安全な治療法です。年間1000~2000例を行う医療機関も少なくありません」

 バイパス手術は胸を開き、心臓の動きを人工心肺装置に換え、患者の脚、腕、胸(冠動脈の良質な部分)などから健康な血管を取り出し、詰まった冠動脈に移植し新たに迂回路をつくる。それに比べ、カテーテル治療は患者が治療の様子をモニターで見ることができるほど負担が軽く、治療後はすぐにトイレにも歩いて行けるほどだ。

■対処できない人は?

「ただし、3本の大きな冠動脈すべてが狭窄・閉塞しているか、左冠動脈の付け根に狭窄がある場合はバイパス手術がすすめられます。また、左冠動脈以外の1本に問題があり、薬で十分治療できると判断されれば、薬で治療することになります」

 なお、痴呆で手術中にカテーテルを引き抜く人もいるため、治療を理解できない人や寝たきりで生活実態のない人は控えてもらうという。

■金属アレルギーでも大丈夫か?

「ステントでアレルギーが出たという経験はありません。アレルギーを実証する医学リポートもないので、安心していいでしょう。また、造影剤を使用するので、急性腎不全を心配する人もいますが、点滴に長い時間をかけて、腎臓に負担をかけないよう注意して治療していますから大丈夫です。ただし、高齢者とコレステロールの高い患者には脳梗塞のリスクがあるので怖いですね」

■耐久期間は?

「一般的に再狭窄率はバルーンで30%、ステントで20%といわれています。早ければ3カ月で再狭窄し、再狭窄したときはさらにカテーテル治療を行うことができますが、場合によってはバイパス手術に変えることもあります」

 再狭窄がなければ、ステントの耐久期間はどのくらいあるのか?

「日本では1994年から保険適用になっており、10年以上の長期適用でも問題が起きたとの報告はありません。一般的にステント部分での再狭窄は少ないといわれています」

■何回できる?

「再狭窄が新たに出来ればその部分をステントで治療します。動脈に数個ステントを挿入した人は珍しくありません。上手に治療を受けて元気に社会活動することが大事です」

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