75歳医師が語る元気の秘訣「毎日1万歩と週2回のステーキ」

家にこもらず散歩に出よう(写真はイメージ)
家にこもらず散歩に出よう(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 日本老年学会は「最近の高齢者は、10~20年前に比べて5~10歳若返っている」と発表した。年を重ねても、大病する割合が同じかむしろ低く、歩く速度が落ちていないのが、その根拠だ。

 しかし、平均寿命は80歳を越え、女性は90歳に迫るが、日常生活に支障なく暮らせる健康寿命は男女とも70歳そこそこ。男性は10年、女性は20年近く寝たきりなどの不自由を余儀なくされる。

 元気な高齢者と不健康な高齢者の違いは、どこにあるのか。東京医科歯科大名誉教授・藤田紘一郎さんは現在75歳。男の健康寿命を上回る今も、週に2、3本の講演をこなし、週刊誌の連載や本の執筆で毎日忙しく活動する。藤田氏が言う。

「気持ちよく歩くと、ストレス解消になり、免疫力がアップします。毎日の歩数は平均1万歩ですが、ノルマは設けていません。疲れて用事がなければ、休みます。無理して歩くと、免疫力がダウンして、かえって病気になりやすいのです。歩くことは“もろ刃の剣”なので、適度が大切。そうすれば大病せず、元気でいられます。私にとっての適度が平均1万歩です」

 食事は野菜とタンパク質が中心。炭水化物は昼に小さな茶碗1杯のみ。

「体を動かすエンジンは糖質系とタンパク質系があり、50代からはタンパク質系が主流。だから、米は昼食に小さな茶碗1杯取るだけ。タンパク質は肉や魚、豆類などを毎食食べます。週2回はステーキ。肉でしか摂取できないアミノ酸があり、高齢者も肉が必要です」

 そんな生活で、55歳のときに「65歳」と判定された皮膚年齢は、75歳ながら「62歳」に。第一線を退いた今、好きな仕事だけ選べる気楽さも若返りの秘密だが、前向きさも大切だという。

「3歳下の弟は14年前にすい臓がんで亡くなりました。享年58。彼も医師でしたが、ふさぎ込むタイプで、告知を受けてからあまり外に出なくなった。がんで余命宣告を受けても長生きできる人は、ほぼ間違いなく前向きなタイプ。治療が一段落したら、旅行するくらいの気楽さが長生きにつながります」

 データが若返りを示したとはいえ、元気でいたけりゃまず歩くことだ。

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