涼しい夕方でも油断は禁物…「熱中症対策」4つの落とし穴

水分摂取は万全でも…
水分摂取は万全でも…(C)日刊ゲンダイ

 先日、某駅のホームでスポーツウエアを着た若者が倒れるのを目撃した。熱中症だったらしい。対策も含めた熱中症関連のニュースが連日報じられているが、熱中症になる人が後を絶たない。「落とし穴」はどこにあるのか? 横浜創英大学・則岡孝子名誉教授に聞いた。

■夕方もリスク大

 日頃は午前中にジョギングをするAさん(37)だが、あまりの暑さに、夕方涼しくなってから走ることにした。それなのに、熱中症で救急搬送される羽目に。

「熱中症は高温の時だけでなく、高湿度の時も起こりやすい。夕方に涼しくなっても、湿度が高ければ、リスクは依然高いのです。特に、雨上がりは要注意です」

 健康のための運動が、猛暑時では命取りになりかねない。するなら、屋内スポーツを選ぶべきだ。

■海やプールでは脱水症状になりやすい

 Bさん(34)は友人たちと出掛けた海で熱中症になった。

「海やプールでは水分摂取を忘れがちです。しかも水中では体から水分が奪われ、脱水症状に陥りやすく、熱中症につながります」

 Bさんはビールも飲んでいた。アルコールも脱水症状に陥りやすい原因になる。

■帽子の汗に注意

 直射日光を避けるために、外出時は子供に必ず帽子をかぶせていたCさん(31)。公園で遊ばせていると、子供がぐったりしてきた。日陰に寝かせ、足の付け根やわきの下を冷やし、ウチワであおいでもよくならず、病院へ。診断は熱中症だった。「水をこまめに飲ませていたのに」と話すCさんに、医師は「帽子の下の汗も問題になる」と言った。

「帽子をかぶり続けると頭に汗をかき、頭の湿度が高くなって熱中症を起こしやすくなるのです」

 帽子は熱中症対策に有効だが、汗をこまめに拭き取ることを忘れてはいけない。

■水イッキ飲みは“補給”にならず

「喉が渇いてから飲むのでは遅い」とよくいわれる。さらに、イッキ飲みも対策にはならない。Dさん(40)は買い物に出かける前に1リットルほど水を飲んだが、帰り道、熱中症に。

「イッキ飲みでは水は体内に吸収されません。ペットボトルを持ち歩き、少しずつ飲むことが大事です」

 則岡名誉教授は、「汗をあまりかかない人と、多汗症など汗をよくかく人は、対策に一層努めなくてはならない」と警告する。

 あまり汗をかかない人は、汗腺が正常に働かず、体温調整ができにくくなっている可能性がある。ほかの人以上に意識しての水分摂取が必要だ。

「1時間あたりコップ半分ほどの水を摂取してください。入浴、運動、ウオーキングで汗をかく習慣をつけ、汗腺の機能を鍛えることも忘れずに」

 汗をたくさんかく人は、一般的に、“皮下脂肪が多い”“代謝が良い”“ストレスが高い”人が該当する。

「熱中症以前に、汗をかきすぎて血液がドロドロになり、脳梗塞、心筋梗塞などのリスクを高めます。ミネラルを含む水をこまめに飲むように」

 無事に夏を乗り切ろう。

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