夏のダメージは頭皮や髪にも出る…正しい「秋の抜け毛対策」

夏の強い紫外線で頭皮や髪はダメージを受ける
夏の強い紫外線で頭皮や髪はダメージを受ける(C)日刊ゲンダイ

 秋は、クリニックへの抜け毛に関する相談が増えるという。どういう対策を講じればいいか? 「メンズヘルスクリニック東京」の小林一広院長に聞いた。

 秋は、頭皮や髪にも“夏の疲れのダメージ”が表れる。

「特に、春から夏にかけて強い紫外線を浴びるので、そのダメージを受けた頭皮や髪は、秋以降にトラブルを起こす可能性が少なくない。さらに、夏の間の大量の汗や皮脂、クーラーによる乾燥なども、頭皮へダメージを与えます」

 だからせっせと育毛剤や養毛剤を使っている――というあなた、それは間違った対策だ。さまざまな要因で傷んだ頭皮は、荒れた畑と同じ。畑が荒れていると栄養分の吸収が悪く、野菜などがうまく育たない。土地を耕し、肥やすことから始めなくてはならない。

「髪を成長させて育む部位は、頭皮の中の真皮にある毛母の部分。頭皮に炎症などなんらかのトラブルが存在すれば、当然、毛母細胞にも悪影響が及ぶでしょう。結果、髪の成長にも悪影響を及ぼします」

■シャンプーは1回が限度

 では、今何をすべきか?

 当然のことながら、乱れた生活リズムを整え、適度な運動を毎日続けること。睡眠不足など不規則な生活は皮膚を荒らすが、もちろん頭皮も皮膚。“皮膚がツヤツヤになる生活”と考えれば、おのずと答えは導き出されるだろう。

「心身共に健康であることの延長が髪の健康になります。『髪の毛が生える食べ物は?』とよく聞かれますが、そういったものはありません。髪のためにと思って特定の食品を取り過ぎると、逆にバランスを崩します。海藻類に関してもそうで、食べ過ぎるとヨードの過剰摂取になり、甲状腺機能障害の原因になります。『何を食べるか』より、腹八分目でバランスの良い食生活を目指すべきです」

 シャンプーは1日1回で十分だ。頭皮が脂ぎっているから、フケが気になるから、汗をかいて気持ち悪いからと、1日2回以上シャンプーをしている人は今すぐやめるべき。皮脂が過剰に奪われるため、かえって皮脂の分泌量が増える。

 意識するのは、「髪」ではなく「頭皮」を洗うということ。そのためには十分な泡が必要だ。まずブラッシングをして髪の毛のほこりや汚れを落とす。シャンプー剤を手でよく泡立て、その泡を頭に乗せて、泡で頭皮の汚れや皮脂を溶かすような気持ちで優しく洗う。すすぎは、毛の流れに逆らうように湯をあてる。指の腹で軽く頭皮に触れながら行う。すすぎが甘いと、頭皮トラブルの原因になる。

 よくあるNG行動はないか? 

「頭皮に対して、力を入れ過ぎる人が結構います」

“頭皮の硬さや血行不良が抜け毛の原因になる”など、雑誌やテレビで時々取り上げられている。それを見てシャンプーをする時などに同時にマッサージもするようになったが、思いっきりやり過ぎて頭皮を傷つけてしまう。毛穴の汚れを気にし過ぎて、過剰な力でシャンプーをし、頭皮トラブルを起こす。

「よかれと思ってしていることが、自分で自分の首を絞めていることは多いので要注意です」

 ただし、生活を整え、食事にも気を付け、抜け毛や薄毛を促進させる要因を排除しても、現状が変えられない場合、まずは一度、医療機関で原因の究明を。病的な原因による脱毛の可能性もある。

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