大分県を代表する食材のひとつが“どんこ”だ。
どんことは、晩冬から早春の寒い時季にゆっくりと成長した、干ししいたけのこと。
傘の開き具合は五~六分程度。丸みを帯びて肉厚なので、歯ごたえ、うま味とも十分だ。ちなみに、同じしいたけでも傘が七分開きで肉が薄いものは“こうしん”と呼ばれ、どんこと比べると、あっさりした風味が特徴になる。
子供の頃からどんこに目がないという大分県出身の会社員、笠原正治さんはこう話す。
「今も、どんこはよく食べています。体にもいいと聞いていますが、どんこのおかげか、健康診断の数値はいいんですよ」
実際、どんこなどの干ししいたけの栄養成分は特筆すべきものがある。
中でもエリタデニンという成分は血液中の悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすといわれ、血圧低下も期待できる。
食物繊維が豊富な点も健康維持に役立つ。腸内の善玉菌のエサとなり、有害物質を吸着して体外へと排出してくれるのだ。
さらに、ビタミンDの含有量も高い。ビタミンDはカルシウムの吸収を高めて、骨や歯の強化に貢献してくれる。
「料理法は、水で戻したあと、シンプルにバター炒めにするのがおすすめ。極上の酒のさかなになります。戻し汁は、味噌汁などのダシに使えて便利です」
脇役と思われがちなどんこだが、健康面でも味の面でも主役級だ。
真似したい伝承療法