滋賀県の中央部に位置する竜王町。あまり知られていないが、昔から椎茸などの栽培が盛んに行われており、きのこの宝庫ともいえる場所だ。
中でも、最近、力を入れているのが“足太あわび茸”。足(柄)が太く、海の鮑(あわび)のようにコリコリとした食感が楽しめるため、こう呼ばれている。
バター焼きや炊き込みご飯にしてもおいしいが、昆布を加えてつくだ煮にしたものが評判だ。滋賀県を旅行したとき、あわび茸の佃煮を食べた会社員の田村正人さんも絶賛する。
「コリッとした噛みごたえが心地よく、昆布の味が染みていてうま味も十分。酒の肴にもごはんのお供にも絶品ですね」
栄養面でも、足太あわび茸は優等生だ。
きのこ類の中でも、特にビタミンB群が多い。ビタミンB群は糖質や脂質、タンパク質といったエネルギー源の代謝に深く関係している。もし、ビタミンB群が不足すればエネルギーがうまくつくられず、疲れやすくなり、皮膚や粘膜のトラブルも招きやすくなる。
ナイアシンも多く、左党にはありがたい。というのもナイアシンは、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解してくれるからだ。
また、余分なナトリウムを排出してくれるカリウム、免疫力を高めてくれるビタミンDも含む。
外食などが多いと、これらの栄養素は不足しがちだが、足太あわび茸なら手軽に取れそうだ。
海の鮑もおいしいが、健康のことを考えれば、“山のあわび”も捨て難い。
(健康ライター・宮岸洋明)
真似したい伝承療法