西洋医学の考え方でいくと「それは、体の不調とは関係ないのでは」と思うようなことが、東洋医学では「関係ある」とみなすことはよくあります。
「気弱な上司と、部下からバカにされている」
こうボヤくNさん(44)。会社に新部署ができたのを機にヒラから役職になり、部下が数人できました。さぞかし意気揚々かと思いきや、部下の冷たい視線に萎縮する日々の影響か、吹き出物ができ、見るからにしょぼくれています。とても、出世したばかりの人間とは思えません!
「納得がいく、合点がいくという意味の“腑に落ちる”という言葉があるでしょう?」と私はNさんに話しかけました。
「“腑”は、五臓六腑の腑で、五臓と六腑はそれぞれのグループの臓器と表裏一体の関係になっていて、“臓”と“腑”がお互いに影響を及ぼし合っています。“肝”は臓で、“胆”は腑に分類されます。一般的に、“肝”で計画し、“胆”で勇気を持って決断すると考えられています」
ところが、肝も胆も充実していなければ、結果的に行動に至りません。ビジネスの場面では、デメリットになることが多いでしょう。
漢方薬に関心を示すNさんに、肝と胆を元気にする「柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)」「柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)」をすすめました。
「これを飲んでいるから大丈夫」という“気の持ちよう”もあるかと思いますが、1カ月後に会ったNさんは晴れ晴れとした表情で、「部下といい関係を築けてきていると実感しています」と話してくれました。
漢方達人をめざせ!