大麦を炒ってひいた「はったい粉」。あまり見なくなったが、香川県では“はったい汁”として、今でも親しまれている。
「子供の頃はお腹が弱く、よく下痢をしていました。少しでもお腹が丈夫になるよう、はったい汁をよく飲まされていました」と話すのは、香川県出身の会社員、村田将彦さん。
はったい汁は、はったい粉をお湯で溶かし、砂糖などで甘味をつけて飲む。ヨーグルトや牛乳に混ぜてもOKだ。万人に好まれる味ではないが、その栄養価を見ると、無理をしてでも飲みたくなる。
はったい粉の原料である大麦はカリウムやカルシウム、マグネシウム、亜鉛など、日本人に不足しがちなミネラルをはじめ、食物繊維も豊富に含んでいる。
栄養分の補給だけでもありがたいが、大麦はコレステロールや血糖値が高い人にとっても、心強い助っ人になる。
その主役となる成分が、食物繊維に含まれるβ―グルカンだ。β―グルカンは体内の余分なコレステロールを吸着し、体外へと排出してくれる。また、β―グルカンは胃腸でほかの食べ物と混ざり合い、消化吸収を遅らせる働きがある。そのため、糖分の吸収も遅くなり、血糖値の急激な上昇を防いでくれるのだ。
腸内環境を整え、便秘や下痢の予防も期待できる。お腹を丈夫にするために、はったい汁を飲んでいたのは、理にかなっていたことになる。
もっと注目してもらいたい健康汁だ。
(健康ライター・宮岸洋明)
真似したい伝承療法