寒さが身に染みる日が続く。心身を温めて健康にもよいのが、富山県の「呉汁」だ。
「呉」とは、一晩水に浸した大豆をすりつぶしたもの。それを、味噌汁に入れたものが呉汁だ。富山県以外でも呉汁は見られるが、地方によって具材などは異なる。
「寒さのせいか、故郷富山では、最後に唐辛子を多めにふって食べていました。大豆の香ばしさと味噌の風味、それにピリ辛の要素が加わり、なんともいえぬ、絶妙な味わいです。厳しい冬の季節でも、体がすぐにポカポカになりました」と言うのは、富山県出身の会社員、石田龍一さん。
体が温まるのは、言わずと知れた唐辛子の辛味成分のカプサイシンによるものだ。カプサイシンはエネルギー代謝を活発にして体を温め、血流を改善する効果がある。
健康食の代名詞ともいえる大豆をふんだんに使っているのもポイント。大豆は良質のタンパク質を豊富に含み、血中コレステロール値を下げたり、血管を丈夫に保ったりする働きがある。
コレステロール対策という面では、大豆に含まれている食物繊維とレシチンの貢献度も高い。いずれも余分なコレステロールを体外に排出する作用に優れている。
さらに大豆のサポニンには、発がんの要因ともいわれる過酸化脂質(脂肪が酸化したもの)を分解する働きもある。
富山県では冬場によく食べられる呉汁だが、コレステロールを気にしている人は年中食べたい。
(健康ライター・宮岸洋明)
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