耳鼻科の病気

花粉症「重症化」するのはこれから

 日本気象協会の2015年春の花粉飛散予測(第4報)ではスギ花粉のピークは過ぎ去ったようです。“今年はあまりひどいことにならずに済んでよかった”と、胸をなで下ろしている人もいるでしょうが、油断してはいけません。

 花粉症を引き起こす抗原を持つ植物は50種類近くあります。スギ花粉の飛散が終わった後、別の花粉の飛散が最盛期を迎えることがあるのです。

 例えば、花粉症を引き起こす樹木にはスギ以外にヒノキ、シラカンバ、ハンノキ、オオバヤシャブシ、ケヤキ、コナラ、クヌギなどがあります。草本ではイネ科のカモガヤ、オオアワガエリなどの他に、キク科のブタクサ、オオブタクサ、ヨモギなどや、アサ科のカナムグラなどです。

 この中で注意しなければならないのがヒノキです。

 スギとヒノキは花粉の形がよく似ています。スギに反応する人はヒノキにも反応しやすく、スギ花粉症の方の約7割がヒノキ花粉にも反応するといわれています。

 ですから、スギ花粉症の人は、ヒノキ花粉が飛散する時季にも注意が必要です。特にスギ花粉症シーズンの終わり頃にヒノキ花粉による症状が加わると、重症化することがあるのです。

 関東圏でのスギ花粉の飛散は2~4月、ヒノキ花粉の飛散は3月中旬から5月いっぱいです。両方の飛散が重なる時季(3月中旬~4月)は症状もつらくなるようです。スギ花粉症の症状が今、軽くなったからといって治療を終了するのではなく、ヒノキ飛散状況を考えて、さらに加療することが大切です。

 ちなみに、北海道は花粉症がないというのは間違いです。確かにスギ花粉症は見かけませんが、代わりにシラカンバ花粉症が見られ、今の時季から患者さんが徐々に増えています。

 シラカンバ花粉が飛散するのは4月中旬~6月初旬で、主な症状はスギ花粉症と同様に鼻水、くしゃみ、目のかゆみです。シラカンバ花粉症の特徴的な症状としては、一部(20~30%)の人が口腔アレルギー症状を起こすことがあります。リンゴやキウイなどの果物を食べると、口の中がかゆくなったり腫れたりします。

大場俊彦

大場俊彦

慶應義塾大学大学院博士課程外科系終了。医学博士甲種日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。日本レーザー医学会認定専門医。日本気管食道科学会認定専門医。米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会フェロー。国際レーザー専門医。厚生労働省補聴器適合判定医・音声言語機能等判定医。日本耳鼻咽喉科学会騒音性難聴判定医・補聴器相談医。