「耳がキーンとする」「自分の声や呼吸音が聞こえてうっとうしい」「耳に水が詰まったような不快感がある」
そんなあなたは耳管開放症かもしれません。
耳管は耳の鼓膜の奥の中耳と、鼻の奥の上咽頭をつなぐ3・5センチほどの管です。通常は閉じていて、あくびをしたり、唾をのみ込んだときにちょっとだけ開き、外の空気と耳の奥の空気の圧力差をなくします。
皆さんも、エレベーターや飛行機に乗ったとき、耳の奥と外気の気圧の違いから耳がキーンとすることがあるでしょう。そのとき、唾をのむと症状がおさまった経験がある人も多いはずです。
耳管開放症は、その耳管が開きっぱなしになる病気で、呼吸のたびに空気がのど、鼻、耳管、鼓膜と伝わり、音が大きく聞こえるのです。
その原因のひとつに急激なダイエットがあります。耳管は脂肪で覆われているため、急激にやせると開いた状態になるのです。実際、東京慈恵会医科大学付属青戸病院の報告では、短期間の急激なダイエットによる発症が多かったとされています。
ホルモンバランスの急激な変化も発症の引き金です。米国では妊婦の5人に1人が発症すると報告されています(ただし、ほとんどの人は妊娠後期や出産後に自然治癒したそうです)。避妊ピルも発症の原因とされています。
他に、激しい運動後の水分不足や血行不良から耳管周辺の組織が弱ることで耳管が開きやすいことなどがわかっています。
この病気は寝転がっているときより起きているときの方が症状がひどくなります。
立ち姿勢の方が耳管が開きやすく、寝たり頭を低くすると耳管が閉じやすくなるためです。
逆にいうと、寝転がっているときと起きているときで聞こえ方が違う、という人はこの病気を疑った方がいいというわけです。
耳鼻科の病気