先週もお話ししましたが、日本では、花粉症などのアレルギー性鼻炎の手術といえばレーザー手術が一般的です。ところが米国では
「高周波ラジオ波」による治療が普及しています。
これは高周波ラジオ波発生装置で発生させた低エネルギー高周波で、皮膚を切開したり、患部を凝固させる治療法です。具体的には、鼻の粘膜下に微細電極を差し込んで粘膜下の組織を凝固させて鼻の通りを良くし、アレルギー反応を起こしにくくします。
その効果はアレルギー性鼻炎にとどまらず、いびき・睡眠時無呼吸症候群に対しても認められています。
実際、米国の睡眠医療のメッカであるスタンフォード大学睡眠障害センターで、いびきの原因となる閉塞性睡眠時無呼吸症候群に関して高周波を利用した報告があり、いびき・睡眠時無呼吸症候群に対しても有効だと報告されました。
ただし、この高周波ラジオ波治療には大きな欠点がありました。針が太いタイプの高周波ラジオ波発生装置を使うと手術中の痛みが強く、痛みに弱い米国人には不向きとされていたのです。そこで新たに痛みの少ない針の細い高周波ラジオ波発生装置が開発され、それらを使った日帰り手術がアレルギー性鼻炎のスタンダード治療になっています。
では、レーザー手術と痛みの少ない高周波ラジオ波治療とでは、どちらが患者さんにとってメリットがあるのでしょうか。
私はまず体に優しいレーザー手術をおすすめしています。その効果が少ない場合は、高周波ラジオ波による手術を提案しています。日本人は米国人以上に痛みに弱い。高周波ラジオ波治療は最後の手段というわけです。
耳鼻科の病気