漢方達人をめざせ!

食べられない

 Wさん(40)の最近の悩みは、「食べられない」こと。脂っこいものや、ちょっと量を多く食べ過ぎるとなかなかお腹がすかず、その次の食事(昼に食べ過ぎたとしたら、夜の食事)を食べられなくなる……。

「夕食が水炊き鍋のようなあっさりしたものでも、翌朝お腹が張ったままなんてこともあります。2~3日に1回は朝も昼もお腹がすかず、夜1食だけ」

「食べられない」という訴え、内容はさまざまです。胃腸の中に食物が滞留している場合もあれば、脂物の解毒ができない場合もある。胃酸、臓器、胆汁酸の問題もあります。また、胃腸は“思考の臓器”なので、ストレスや物事の考え過ぎ、脳の使い過ぎとも関係しています。

 よくよく聞くと、Wさんからこんな話が。

「そういえば、平日はお腹がすかないのですが、不思議と休日は普通にお腹がすき、1日3食おいしく食べられます。驚いたのは、金曜日に肉料理を食べに行き、『これは絶対土曜日はお腹が張ったままだろう』なんて思っていたら、朝からスッキリで、朝食を食べられたことです」

 これは、典型的な物事の考え過ぎなどによる消化不良です。「ストレスはない」とWさんは言いましたが、自覚していないだけ。「体は正直ですよ」と返すと、「寝る直前まで、明日の仕事の段取りなどを考えています。夢に見ることもあります」とのことでした。

 Wさんのような悩みの場合、漢方薬では「四逆散」「六君子湯」「安中散」などを使います。「もっと気軽に飲めるものがいい」とのことでしたので、ナツメの実、サンザシの実、ショウガ、紅参、ウイキョウなどをブレンドしているお茶をお薦めしたところ、今では胃腸の調子は
絶好調。毎食おいしく食べられるようになったそうです。

久保田佳代

久保田佳代

父は乳児院院長、母は薬剤師、長女は歯科医、次女は眼科専門医という医療一家に産まれたが、昨今の臓器医療である西洋医学とは違い、人に向き合い、カラダとココロの両面から治療が行える漢方を志し20余年経つ。昭和薬科大学卒業、老舗漢方薬局を経て、「氣生薬局」開局。サプリメントアドバイザー、漢方茶マイスター、日本プロカウンセリング協会1級など多数資格取得。「不妊症改善における実力薬局100選」に選ばれている。