医者の内緒話

外国人の診療代は日本人の10倍

 日本を訪れる外国人の数が増え、ホテルやレストランなどの観光に関わる業者は喜んでいるようですが、診療所を経営する立場からすれば複雑です。外国人観光客のなかに、外国の患者に不慣れな日本の病院の足元を見て法外な賠償金を求める訴訟を起こす人がいるからです。

 市中病院に勤務する知人の内科医は観光客だという米国人を診察・治療。その後、米国に戻った患者から“おまえが病気を見落としたせいで、手術を受けるはめに陥った。米国での治療費用をすべて払え”と難癖をつけられたのです。

 どうやら相手は、日本の医師が外国人慣れしてないことにつけ込み、最初からお金目当てで民事裁判を起こすやからだったそうです。訴えは米国内の裁判所に出されたため、知人が所属する病院は対応に苦慮したといいます。

 その後、知人から次のようなアドバイスを受けました。

「基本的に外国人は受けないこと。受けたとしても英語が使える外国人に限る。そのための告知書、同意書などは英文で揃えていなければ訴訟の際に苦労する。スタッフも英語が読み書きできるだけではダメで、医療事務がわかる人を揃えていなければトラブルになる」

 あるクリニックの院長は、外国人を診るときは自由診療費用の10倍の診療代をもらうそうです。

 外国人患者が多い大病院でも同じようなシステムになっているといいます。医療訴訟を起こされたときに備え、医師賠償責任保険に加入するためです。

 日本政府は、外国人観光客の増加に喜んでいますが、観光客の診療・治療が日本の皆保険制度を崩すことにもなりかねません。