独白 愉快な“病人”たち

司会者 みのもんたさん (70) 脊柱管狭窄症 ㊦

(C)日刊ゲンダイ

 腰痛の原因が「脊柱管狭窄症」とわかったおかげで今ではピンピン! 脊柱管を狭めていたカスを取り除いたら、痛みが消しゴムで消したかのようにスッと消えました。
「司会者は立ってやるもの、意地でも座ってなんてやりたくない」

 そう思って、ブロック注射まで打ちながら仕事をしていた時のあの痛みは全くない。痛み止めを飲みながら無理して行ったゴルフも全く支障ナシ。たった13日の入院で劇的な変化でした。これがもしもヘルニアの手術をしていたら、一生腰痛と付き合うことになったかもしれなかった。腰痛だからと簡単にヘルニアだと決めつけちゃいけない。イヤー、危なかったね。

 元日に入院、術後の治りが早いので、手術から1週間で退院し、箱根に療養に行くことにしました。主治医の福井先生をお誘いすると、先生も同行してくれて、旅館で傷痕の消毒の仕方をレクチャーしてくれました。といっても女房が覚えてくれるだけで、僕は何もしなかったけどね。

 入院中に学んだことといえばiPadの使い方。図面も十分見ることができるし、経営者として必要な判断は十分できる。必要に駆られて、インターネットの便利さを体感しました。

 ヘルニアで手術をしても回復しない人、何回も手術をして苦しんでいる人が周りにもたくさんいますよ。僕も3人目の医師の診断でわかったぐらいだから、実はヘルニアではないのにヘルニアの手術を受けている可能性も結構あるんじゃないかな。

 それだけに、症状を聞いて交通整理をしてくれる総合診療科のような存在がこれからは必要だと思いますね。この病気の交通整理は僕の体調保全に有利に働いています。その証拠に今まで大病したことがないからね。

 手術を経て何か注意しようとは思いませんでした。何でも女房の言う通りにすればよかったから。でも、女房が亡くなってから健康管理を自分でしなきゃいけないことに気づいた。朝は家、昼は弁当と女房の作ってくれたものしか食べていなかったからね。

 今は、女房が残したぬか床で漬物を作り、EXILEのHIROさんのくれた玄米を炊いたり、森喜朗元総理がくださったパックのご飯で自炊をしています。外食は好きなものだけ選んで食べます。何せ、高級料亭ですら食品偽装をする時代ですから、自らの目をもって選んで食べることが健康管理のひとつだと思います。また、メタボ対策で飲みたいものを我慢して代わりのものを飲んだりするのも、心と体の栄養という面で意味がないと思うんです。

 いくら体力がズバぬけていても、年相応に血管ももろくなる。今、一番怖いのは梗塞です。体内に梗塞ができて、いつ脳や心臓に飛ぶかわからない。長嶋茂雄さんは、いつもの時間に起きてこないのでご家族が心配して脳梗塞で倒れているところを発見されたけれど、僕は布団に入ったまま誰にも気づかれずに逝ってしまうかもしれない。

 隣に女房がいないっていうのがどれだけ不安なことか、今更ながら思い知らされますね。

 それもあって毎月血液検査だけはしています。肝機能の数値を見て調子がいいときは適量、悪い時は大量に飲みます(笑い)。

 70歳ともなると、経営者としても第一線を退く年頃。年相応っていうのがありますから、長生きを目指すよりも、いつ倒れても残された者に迷惑をかけず、悔いを残さないよう、やらなきゃいけないことをこなすことが今の課題かな。
(次回は俳優の近藤芳正さん)

▽1944年東京都生まれ。文化放送アナウンス部出身、2006年に「1週間で最も長い時間、テレビの生番組に出演している司会者」としてギネス世界記録に認定された。司会業の傍ら、家業の水道メーター会社の社長も務める。