独白 愉快な“病人”たち

お笑い芸人 安田大サーカス 団長安田さん (39) 精巣捻転

(C)日刊ゲンダイ

 小学生の頃から年に1、2回すごくキンタマが痛くなることがあって、男ならだれでもあるんだろうって思っていたんです。

 痛い時は家の柱を押して「グーッッ」て踏ん張ると、スッと痛みが取れる。いつもそうやって痛みを克服していました。そんな痛みも、成長するにつれて徐々にインターバルが広くなり、忘れていました。

 後に判明した「精巣捻転」は、睾丸をぶら下げている管がねじれて血流が止まる病気で、子供に多く、体が成長すると次第になくなるらしい。僕も何が起きてるのか分からへんかったし、親にも言わずにきた。

 ところが19歳の時、仕事中に冗談で女の子にキンタマ蹴られたら、股間に潜り込んで戻らなくなって。メッチャ痛くて救急車を呼んだ。タンカで運ばれ、「じゃこっちのベッドに移ってください」と看護師さんに言われて苦しみながら移った途端、痛みが消えた。たまたまスキー場だったんですが、そんなところで救急車を呼んで、なんやカッコ悪い話になりました。

 それから15年後、34歳でまたやってきた……。

 朝起きたら、なんかおかしい! スター・ウォーズのダース・ベイダーのテーマ曲じゃないけど、ジワジワ痛みが迫ってくる。気持ち悪さと痛さはピーク。もう失神寸前です。

 当時、今の嫁と同棲していたんですが、「アタシ、自転車で病院連れて行く!」と言う。こんな股間が痛いのに自転車の後ろなんか乗れない。「タクシーで行く」と断ると、彼女は「だっていつも自転車大好きじゃない!」ってこんな時に逆ギレ。こっちは本当に失神しそうなほど痛いんですけどね。

 近くの病院でレントゲンを撮ると、精巣の管がねじれているのが写っていた。精巣の管がねじれると、血流が止まり、数時間で睾丸が壊死してしまうそうで、すぐに北里研究所に回され、手術。マネジャーに今から数日休む、と言って一方的に電話を切り、手術に臨みました。

 ところが、いざ手術とタマ袋を切って開いたら、“ブルブルッ”とねじれが戻ったらしいんです。睾丸切除も覚悟していたけど「まだタマは取らせへんぞ!」って僕の体も頑張ったみたいです。結局、手術はまたねじれを起こさないように管を固定するだけで終わり、自宅安静と都合1週間で終わりました。

 入院してすぐ見舞いに来てくれたのはKABA.ちゃんでした。「見せて~!」とキャッキャしながら。「なんだぁ~、タマ取らなかったの?爆笑問題の田中さんやネプチューンのホリケンさんも片タマよ。取ったほうが成功するのに!!」って言って帰りましたよ。

 精巣捻転になってから、「自転車に乗りすぎたのがいけなかったんじゃないか」「子供ができなくなるんじゃないか」なんて、根拠のないことを言われるのが、自転車乗りの僕にはとっても悲しい。僕は術後に結婚し、2人の子供に恵まれましたよ! そんなん言ったら、海外のロードレース選手、一日中自転車に乗ってますが、みんな精力強くて子だくさんです!

 最近は安眠が課題です。この前「アイアンマンレース」への出場が大会1カ月前に決まり、調整しました。過度なトレーニングに減量も並行したので、腰痛を起こしましてね。そのせいで眠りが浅く、睡眠時無呼吸症候群によるいびきもひどい。マットレスや枕はこだわっているんですが、まだ模索中。これを克服したらまた報告しますわ。

▽1974年、兵庫県出身。2001年、安田大サーカスを結成。ロードレース、トライアスロン、マラソンなど、アスリート並みの成績で「自転車芸人」と称される。現在、松竹芸能・道頓堀角座で「団長カフェ」を期間限定オープン。6月末まで。