独白 愉快な“病人”たち

お笑い芸人 土田晃之さん (41)

(C)日刊ゲンダイ

 専門学校に入学して始めたアルバイトがドラッグストアのトラック運転手。高校時代は運動も全くせず、腹筋もない状態で荷物の揚げ降ろし作業をやったもんだから、18歳にして椎間板ヘルニアになってしまいました。

 そんなある時、部屋の模様替えで雑誌の束をヒョイと持ち上げたんです。瞬間、強烈な痛みが腰に走り、四つん這いのまま固まってしまいました。小指の先すら動かせない。弟2人に両側から抱えられて病院に行き、そのまま1週間、家で寝たきりに。

 以来、ずっと腰痛持ちです。それでも20代の頃は多少モテたいって気持ちがあって、外見を気にしていたからよかったけど、30代で仕事がテレビに移行するようになった頃には、77キロ程度だった体重が97キロになっていた。すると腰痛も重くなり、痛くなる頻度も増えました。毎年、年末特番のまとめ撮りの時期になると調子が悪くなるのが常で、動けなくなることも度々でした。

 そんな腰痛とさよならできたきっかけは、2010年1月、友人のプロサッカー選手、名波浩の引退試合のオファー。

 ほかの出場選手は、キングカズ、ゴン中山、中田英寿と、Jリーグ草創期を支えたそうそうたる選手ばかり。いくら名波の友達といえど、ここに自分が参加したら差は歴然。4万3000人の前で公開処刑みたいなものですよ。
「サッカーファンとして観客席で見たい」と断ると、名波はどうしても出て欲しいと言う。そこまで言われたら仕方ないと思い、せめて当時93キロあった体重を減らし、ボールを触って走れる体にしようと思ったんです。

 都心のスポーツジムに通うなんて田舎者がカッコつけんなって思う性格なんで、トレーニングは自宅中心。上半身、下半身、ストレッチ、ビリーズブートキャンプと、日ごとにメニューを変えました。最初は腹筋20回もできなかったけど、次第に回数を数えるのが面倒になるほどまでこなせるようになりました。

 あとは、次の仕事の現場までをウオーキングに充てたり、テレビ局から自宅まで歩いて帰ったり。食事は、弁当のご飯を控え、コンビニでソバを買って食べるなど、高タンパク・低脂肪を心掛けました。

 努力の甲斐あって、10カ月後の名波のセレモニーには、24キロ減の69キロまで落ちていました。すると、テレビの収録でひな壇に座っていても背もたれに寄りかからずにいられるようになり、腰痛が治ったというより、「腰痛自体を忘れていた」んです。

 トレーニングが日常化して3年、今年の春は77キロ、体脂肪15%、内臓年齢は31歳、実年齢を10歳下回りました。腹筋なんて、ボウリング番組のDVDを2本、トータル50分間できますよ。

 最近、アンジャッシュの渡部と、光GENJIの諸星くんがモテて絶倫なのは、ローラースケートで内転筋が鍛えられてるからだという結論になり、内転筋を引き締める通販グッズもメニューに加えてみたりしています。

 先月には三浦淳宏の引退試合に出たので、その日を目標に調整していましたが、僕としては月2回のフットサルで若い後輩たちと楽しめれば十分。そのために1週間前からトレーニングをする。僕の場合はこうして小さな目標を重ねていくことの方が、壮大な治療計画を立てるよりも、腰痛解消に効果的なんです。