近視とは、近くのものが見えて、遠くが見えづらい状態をいいます。そのために眼鏡をかけたり、コンタクトレンズを装用したりなど、日常生活にも大きな影響が出ることでしょう。
親が近視の場合、子どもが近視になる可能性は比較的高く、遺伝的な要素が複雑に絡んでいるともいわれています。また、読書やパソコンなどの画面を見続け、目を酷使するような環境も、要因であると考えられています。
近視が予防できる方法があれば、ぜひとも試してみたいところ。米国医師会誌2015年9月15日号に、小児を対象とした近視予防に関する論文が掲載されました。
この報告は中国の小学生(平均6.6歳)を対象としたもので、屋外活動と近視の関連を検討したものです。中国にある12の小学校を、「屋外遊びを奨励する6校」(952人の小学生)と「通常の生活パターンを行ってもらう6校」(951人の小学生)の2つのグループに、学校単位でランダムに振り分けています。なお、屋外遊びは放課後40分の屋外活動に加え、週末や休暇中も屋外活動を奨励するというものです。
3年間の追跡調査の結果、近視の発症は屋外遊びを奨励したグループで30・4%、通常の生活パターングループでは39.5%でした。その差は9.1%と、屋外遊びを奨励したグループで、統計学的にも有意に少ないという結果になっています。
近視発症は遺伝的要素や環境的要素が複雑に影響しており、この研究だけで因果関係を決定することは難しいかも知れません。しかし、屋外活動が小児の近視発症を予防する可能性を示した貴重な報告といえそうです。
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