家計簿を見れば病気がわかる

「牛乳消費量」最下位の沖縄県は平均身長が低い

(C)日刊ゲンダイ

「ヒトの身長の8割は遺伝で決まる」──。そんなニュースが1年ほど前、世界中に流れました。アメリカの研究者たちが、25万人の遺伝子を解析して得た結果です。

 このニュースを聞いて、がっかりした方も多かったことでしょう。身長が遺伝に大きく左右されることは、誰でも知っている事実です。しかし昔から「牛乳を飲めば身長が伸びる」といわれてきました。それを信じて頑張ってきた親子にとっては、希望を打ち砕くような研究結果です。

 実際、牛乳は嫌いだという背の高い人は結構います。また牛乳をいくら飲んでも、一向に結果に表れない人も大勢います。だからといって、牛乳を否定することはありません。遺伝子の研究の裏で、牛乳の影響を調べる研究が世界中で進められているのです。そして「牛乳をよく飲む子供ほど、身長も伸びる傾向が強い」ことが、明らかになってきています。

 たとえばオランダ人は、平均身長が世界一といわれていますが、その理由は牛乳を含む豊富な乳製品にあると考えられています。牛乳に含まれるタンパク質は、必須アミノ酸を豊富に含んでおり、しかも消化がいいため、子供の成長にうってつけの食品なのです。

 子供が長身の遺伝子を持っていたとしても、栄養が足りなければ、せっかくの素質を生かすことはできません。逆に遺伝子的な条件が同じなら、子供のうちに牛乳をたくさん飲ませるほど、身長が伸びるはずです。

 ただし、あくまでも「平均すれば」の話。全員がその通りになるわけではないのが、悩ましいところではあります。

 残念ながら、日本人の牛乳消費は、決して多いとはいえません。トップの京都でさえ、1世帯平均で1年間約98リットル(1日当たり約267㏄)。小中学生は、学校給食で毎日200㏄ずつ飲んでいますが、この程度ではまだまだ欧米諸国に遠く及びません。そのためか、高校3年生の平均身長も都道府県間で違いがほとんど見られません。

 それでも、牛乳消費量が最下位の沖縄は平均身長も全国最下位です。消費量でその次の高知も少し平均身長が低いので、牛乳摂取が少ないことが多少なりとも影響しているのかもしれません。

 ちなみに、妊娠中のトラブルは小柄な女性に比較的多い、といわれます。

 実際、平成13年度厚労省患者調査によると、周産期トラブルの受診は沖縄、高知ともに多めでした。