日本一深い湾として知られる静岡県の駿河湾。最深部は約2500メートルに達し、魚の餌となるプランクトンにも恵まれ、実に約1000種類もの魚類が生息している。
多くの海の幸が堪能できるが、ちょっと変わっているのは黒はんぺんだ。はんぺんといえば、スケトウダラなど魚のすり身と、山芋を原料とした練り食品のこと。
しかし、駿河湾と向かい合う静岡中部では、スケトウダラの代わりにイワシやサバを使った黒はんぺんが主流だ。
静岡を旅行中、イワシの黒はんぺんを食べたという会社員の松尾真二さんはこう話す。
「魚のうま味がほどよく感じられ、心地いい歯応えでした。地元の人から栄養価も優れていると聞いて、お土産にも買って帰りました」
黒はんぺんの材料として使われるイワシやサバなどの青魚は、DHAやEPAの宝庫だ。
DHAは脳の神経細胞を活性化し、情報の伝達をスムーズにするといわれている。そのため、学習機能の維持に役立ち、認知症の予防などでも大いに期待されている。
一方、EPAは血栓を溶かしたり、血小板の凝集を抑えたりして、血液をサラサラにするといわれている。生活習慣病対策として、ぜひとも摂取したい栄養素だ。
黒はんぺんはそのまま食べても酒の肴などになり、とてもおいしいが、この季節、おでんや鍋物の具材としてもいける。
健康のために、たまには黒のはんぺんを。
真似したい伝承療法