有名病院 この診療科のイチ押し治療

【リウマチ教育入院】東京都立大塚病院・リウマチ膠原病科(東京都豊島区)

(C)日刊ゲンダイ
個別プログラムで治療し学ぶ

 関節や周囲の骨、筋肉などの運動器官に痛みやこわばりが起こる病気(200種もある)を総称する「リウマチ性疾患」。最も患者数が多く、代表的なものが関節リウマチだ。

 免疫異常で手足などの関節に炎症が起こり、腫れと痛みが出て、少しずつ軟骨や骨が破壊されていく。進行すると関節が変形して、日常生活にも支障を来す。

 同院はリウマチ・膠原病系難病を重点医療のひとつに位置づけている。同科が持つ(リウマチ性疾患の患者の)ベッド数(34床)は都内では最も多い。リウマチ性疾患は合併症を招くことが多く、総合病院として集約的に治療できるのが特色だ。関節リウマチは、リウマチ内科、整形外科、リハビリ科の医師によるチーム医療で診療にあたる。

 同科の立石睦人部長(顔写真)が言う。

「1999年に抗リウマチ薬としてメトトレキサートが承認され、2003年以降、種々の生物学的製剤が登場したことで、関節リウマチは進行阻止、コントロール可能な病気になりました。しかし、それは最近の話です。10年、20年も前から通院していて、人工関節などの手術適応になるような患者さんの方が圧倒的に多いのです」

 関節リウマチは30~40代の発症が多く、女性が8割を占める。国内患者は70万人以上いて、毎年約1万5000人が発症するといわれる。そう考えると、全体の3分の2以上は15年以上前の発症になる。良薬がなかった時代に発症した人は、すでに関節が変形した患者も多い。

■5日前後で効果、意欲がアップ

 同科は14年から希望者を対象に「リウマチ教育入院」を開始した。地方の温泉病院などで行われている例はあるが、都市部の医療機関では珍しい試みだ。

「関節リウマチになると患者さんはさまざまな不安を抱えます。それに症状が少し良くなっても、治療を強化しないと関節の破壊が進む場合があります。リウマチとはどんな病気なのか、治療内容や薬の副作用、リハビリの仕方、日常生活の注意点などを集中的に勉強してもらいます」

■費用は3割負担で6万円前後

 入院期間は5~6日が基本で、費用は3割負担で6万円前後。医師、看護師、理学・作業療法士、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーらが協力して、個々の患者の症状や生活状態に合わせた入院プログラムを作り指導する。状態に応じて利用できる医療制度も説明してくれるという。

 教育入院を利用した患者の声(アンケート回答)はこうだ。

《今後の治療の方向づけをしてもらえたことがとても心強く、将来に漠然とした不安を持っていたが、自分のできることは頑張ろうと思った》《これまで固まっていた関節が動くようになり、次の日に痛みもなくうれしかった。自分ではそこまでできなかった》《いろんなサービスを教えてもらえてよかった。今までどこに相談したらいいのか分からなかった》

「関節リウマチ療養では、病気と上手に付き合っていくことが大切です。勉強していただくことは、その大きな手助けになるはずです」

■関東大震災帝都復興事業の一環として1929(昭和4)年に開設。

◆スタッフ数=医師7人
◆年間初診患者数=約300人(うち関節リウマチは70人前後)
◆教育入院の患者数(2014年7月~)=40人