がん治療を変える 日本発新免疫療法

1型糖尿病や間質性肺炎などの重大な副作用も

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「千葉ポートメディカルクリニック」(千葉市)の今村貴樹院長は、この1年間で65人のがん患者自らが個人輸入した「オプジーボ」などの免疫チェックポイント阻害剤を使用した。

 その結果、「患者の年齢は30~78歳。肺、胃、大腸、腎臓など、あらゆる進行がん種に治療を実施し、総合判断して治療の効果は5割でしょうか」と評価する。

 そのうち、「4人からがん細胞が完全消滅した」というが、副作用はどうだったのか。今年1月末、厚労省は医師会などにオプジーボの使用に当たって、1型糖尿病の発症に注意を呼び掛ける文書を送付した。

「実際、私のがん患者さんの中で、1人が1型糖尿病を発症しました。もちろんその時点でオプジーボの治療をストップしています」(今村院長)

■下痢や全身倦怠感などの副作用も

 今村院長によると、オプジーボの治療は平均2~3週間に1回、40分前後の時間をかけて静脈から点滴によって注入。それを1~4回繰り返す間に、治療効果とがんの現状維持(増大していない)を見る。

 有効と認めた場合、さらに4~8回を追加投与。ほぼ完全な治療効果が認められたらオプジーボの治療をストップさせるという。

「脱毛や吐き気など、他の抗がん剤に見られる副作用はありません。1型糖尿病については先ほど申し上げました。オプジーボの副作用は、ブレーキをかけていた免疫機構に対して逆にアクセルをかけるため、下痢や全身倦怠感などさまざまな免疫異常が生じやすいのです」(今村院長)

 国内外での、オプジーボには間質性肺炎、肝機能障害、甲状腺機能障害、大腸の炎症などの副作用が報告されている。今村院長はそうした副作用の対策として、「抗サイトカイン薬」「アクテムラ」「シンポニー」といった医薬品を併用するという。

「免疫、アレルギーに十分な知識を持つ医師なら、オプジーボを使いこなすことができます。私は、患者さんに治療効果が出ると一時期ストップします。投与をストップしても治療効果の持続があるし、その点、すごい薬だと思いますね」(今村院長)

 なお、日本では保険を使ってオプジーボを投与するには、皮膚がんの指導専門医がいることや、間質性肺炎などの副作用に対応できる診療科との連携がとれることが条件となる。