病院は本日も大騒ぎ

手術室のウラ話 出血量はガーゼの“枚数と重さ”で量る

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 こんにちは! 首都圏の総合病院で手術室専門の看護師となって30年近くになるヨシエです。

 手術室の看護師というと、ドラマで見るように執刀医の汗を拭いたり、メスなどをテンポ良く渡す……といったイメージをお持ちの方も多いと思います。しかし、手術室の看護師の仕事はそれだけじゃありません。

 病院によっても違いますが、手術室の看護師は「直接介助」と「間接介助」の2通りの仕事があります。

 執刀医の指示でメスなどを渡すのが直接介助。間接介助は、患者さんを病室から手術室に搬送したり、患者さんの血圧、体温などをチェックして口頭で執刀医に知らせるなどです。

 私はどちらも経験していますが、事前準備が大変です。もし長時間の手術が予想されたら、手術前に十分に食事を取り、水分は一切取りません。手術中にトイレには行けないからです。

 手術前、看護師はシャワーを浴び、下着を替えて手術専用のワンピースに着替えます。

 病室から手術室に向かう患者さんには、先に「プレメディ」(麻酔前投与=不安、緊張感を除去する薬)を注射し、その後に麻酔専門医が麻酔を打ちます。

 ご家族には、「手術室の前に行ってお待ちください」と伝え、私たち看護師は患者さんをストレッチャーに乗せて手術室に向かうことになります。

 手術室の中は、テレビ番組で放映されている医療ドラマとほぼ同じと思ってください。

 手術には出血がつきものです。その量は血をぬぐうガーゼの枚数で量ります。ガーゼは1枚3グラムです。もし40グラムになっていれば37グラム(約37㏄)の出血という計算です。間接介助の看護師は、手術中に血をぬぐったガーゼの重さを量り、10枚単位で執刀医に「○○㏄です」と伝えるのです。

 よく、お腹の中などにガーゼを忘れたという医療事故が報じられます。そんなミスを起こさないために、手術終了後に何枚のガーゼが使用され、未使用のガーゼは何枚残っているかを確認する。これも看護師の職務です。

 手術の介助はストレスがたまりますが、ゆっくり骨休みする暇はありません。急な手術が入ることがあるからです。そのため、手軽に短期間でストレス解消できる方法として、お酒の力を借りることも多いですね。

 酒場で陽気に騒いでいる看護師さんを見かけたら、手術室の看護師かもしれません。