熊本地震によるエコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)が話題ですが、被災地におられる血液型「AB型」の人は、より気をつけた方がよいかもしれません。
「ABO型」の血液型というと、「A型はきちょうめん」のような性格診断がすぐに頭に浮かびます。しかし、これはほぼ日本だけの現象で、あまり科学的な裏付けのあるものではありません。ただ、この血液型は輸血などの場合には非常に重要で、一致しないと拒絶反応の原因になります。それ以外に、この血液型は病気のなりやすさにも関係しています。
たとえば、被災地での感染拡大が懸念されているノロウイルスによる腸炎は、小腸にある血液型の抗原にくっついて感染を起こすので、血液型によって感染しやすさが変わります。
米国で最初に流行したノロウイルスは、「O型」と「A型」には感染しやすく、「B型」や「AB型」には感染しませんでした。
これについて最近多くの報告があるのは、血の塊が詰まる病気である血栓症です。今年の「サーキュレーション」という専門誌に発表された論文によると、「O型」と比較してそれ以外の血液型では、「深部静脈血栓症」や「肺塞栓症」といった静脈血栓症が、最大で2倍くらい多いという結果になっていました。特に「AB型」が最もそうした病気にかかりやすかったのです。その原因は、血液の中にある血液を固める時に必要な物質が、「O型」以外では多いためと考えられています。
血液型は変えられませんから、心配しても仕方ありませんが、「AB型」の人は血液がドロドロにならないように、より気を配った方が安心かもしれません。
医者も知らない医学の新常識