介護を助ける“切り札”はコレだ

腰にかかる負荷を40%軽減 ロボットスーツ実用化の期待

介護者の負担を軽減
介護者の負担を軽減(提供写真)

「大介護時代」の到来である。総務省の統計によると、高齢者人口(65歳以上)は3296万人。総人口の25.9%(2014年)に達し、そのうち要介護、要支援の認定者は469万人(厚労省・介護給付金実態調査=2015年)を数える。

 もはや、国民皆介護人の世の中は待ったなし。そこで、自宅介護をラクにする方法を探ってみた。

 東京・豊島区に住む専業主婦のHさん(66)は、昨年、89歳で亡くなった父の介護をほぼ10年間続けてきた。

「トイレまでの歩行支援や、毎日、腰を折り曲げてベッドの寝起きや入浴補助、晩年は1日数回のオムツ交換を続けました。膝関節が疲弊し、強度の腰痛も重なり、自分ではまだ若いと思っているのに、杖なしで歩けなくなりました」

 介護者のこうした“ハード介護”を軽減するために、各研究機関やメーカーが先を競うようにして研究開発に乗りだしている。

 すでに市場に出ている世界初のサイボーグ型「ロボットスーツHAL(R)・福祉用」(装着する人の意思を感知し、アシストする自立動作支援)。「HAL(R)介護支援用(腰タイプ)」(写真=開発・製造=CYBERDYNE社)や「HAL(R)自立支援用(単関節タイプ)」も新種の製品だ。

 これらの介護ロボットは、8年前から介護事業に参入している「大和ハウス工業」(東京本社=東京都千代田区)が販売を手がけている。

「介護支援用の腰タイプのロボットスーツを着用すると、介護者の負荷が最大40%軽減されます」(同社ヒューマン・ケア事業推進部長の田中一正氏)

 重さが2.9キロという「HAL(R)介護支援用(腰タイプ)」は、腰部の負荷となる動作をラクにするもの。

 気になる価格は、「HAL(R)介護支援用(腰タイプ)」の場合、1台当たり初期導入費用は10万円で、3年レンタルの費用が7万8000円(毎月)+保守料2万円(同)である。

「ただし、現在は老人施設や医療機関向けにレンタルしており、個人にはレンタルしていません。自宅介護で使用できることになるのは、もう少し先のことになるでしょう」(前出の田中氏)