どんな職業にも、その仕事内容に応じた病気=職業病というものがつきものです。
有名なのは、粉じんが舞う職場に多い「じん肺」と呼ばれる肺の病気です。肺の奥底にある肺胞や細気管支などに、目に見えない粉じんが入り込み、長い時間をかけて肺を硬くしてしまう病気です。
チェーンソーや削岩機などを使う人は振動障害が起こりやすい。手指前腕の冷え、しびれから筋力が低下します。進行すると睡眠障害やイライラなどの精神障害が起き、手指の筋肉が萎縮して手術が必要になることがあります。
医師やスタッフにも、そうした職業病があるようです。イタリアの新たな研究で、心臓カテーテル室の医師やそのスタッフは、その他の医師やスタッフと比べて皮膚病や白内障、高血圧、脂質異常症のリスクが高いことがわかったというのです。
そもそも、X線の結果を見ながら行う心臓カテーテル室の医師やスタッフは、重い鉛エプロンを使うことから肩凝りや腰痛などがつきものですが、放射線被曝の影響も強く出ることがわかっています。
研究では、イタリアの心臓カテーテルの学会出席者らから調査参加者を募る一方、放射線被曝を伴わない医療従事者を募り、両群を比較しました。
その結果、被曝量の多い心臓カテーテル医師は、そうでない医師に比べて高血圧で1・7倍、高コレステロール血症で2・9倍、がんで4・5倍、白内障で9倍も高かったそうです。
①放射線被曝量は自己申告であったこと
②参加希望者を対象としたので、持病を抱えていた人が多かった可能性があること
③そもそも放射線被曝量と病気との直接的な因果関係が明白とはいえないこと
以上に挙げた点などを考えれば、この研究をもって職業病というわけにはいきません。しかし、興味深い研究といえます。
私の甥っ子が心臓カテーテルの医師を目指して勉強中です。機会があったら話してみようと思います。本人は“そんなリスクがあるなら心臓カテーテル医師をやめるよ”とは言わないでしょうけど、甥っ子の彼女はどう言うでしょうねえ。
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都内の50代勤務医