介護を助ける“切り札”はコレだ

専門会社を利用した観光旅行なら介護士同行で家族も安心

家族の付き添いも可能だ
家族の付き添いも可能だ(C)日刊ゲンダイ

 都立高校で「社会福祉」の授業を受け持つ介護福祉士の香川昇さん(71)。昨年、車椅子を利用している80代の婦人を、ボランティアで福島県下の温泉に案内した。

「随行者はチャーターしたマイクロバスの運転手、付添人と私の3人。1泊2日の総旅費代は約15万円でした。全額を婦人が支払いましたが、それでも『もうあきらめていた温泉に来られた』と、泣いて喜んでいらっしゃいました」

 車椅子の利用者や紙パンツを着用した高齢者でも、「思い出の観光地に行きたい」「温泉に行ってみたい」という気持ちは強い。だが、さまざまな障害が壁になって、なかなか実現が難しい。頼りの家族も「日々の介護でクタクタで、とても旅行までは……」と二の足を踏む。

 そんな時は、体にハンディを背負う福祉旅行(障害者を含む)専門の会社を使うのも手だ。「㈱タビックスジャパン」(東京・中央区)もそのひとつ。さいたま支店の小峰正彦チーフが言う。

「目的地、参加人数によっても乗り物が異なりますが、リフト付き貸し切りバスと、中には固定できる車椅子席を用意しています。宿泊は車椅子対応が可能で、部屋はバリアフリー。車椅子用トイレがあるホテルと提携しています」

 関東なら「栃木・鬼怒川コース」「伊香保・草津コース」「伊豆コース」「富士山麓コース」「千葉房総コース」など盛りだくさん。

 介護福祉士が同行し、家族の付き添いも可能だ。希望によって海外のコースもあるが、気になるのは旅行代金。

「参加人数の均等割りになるため、参加者が多いほど割安になります。例えば、家族含めて2人の参加ですと、現地で1日のタクシーチャーター代が6万円としたら、それだけで1人3万円の支払いになります。20人の参加者を集い、1泊2日の鬼怒川コースなら、1人当たり約3万円ぐらいでしょうか」(小峰さん)

 旅行は日頃の介護ストレスを忘れさせてくれる。旅行後は会話が弾み、介護が楽になるケースが少なくないという。