介護を助ける“切り札”はコレだ

老親の行動や室内環境 「見守りシステム」でモニタリング

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 現在、一人暮らしの高齢者はおよそ600万人。20年後の2035年には、その数は762万人(内閣府調査)に膨れ上がると予想されている。

 老親と同居できない子供たちはもちろん、同居していても仕事の関係で昼間は家を空ける人、親類縁者は心配なはずだ。とりわけ夏は、一日中部屋にいる高齢者が熱中症などにかかる危険性が増大する。

 こうした家族の不安を解消するツールとして注目されているのが「見守りシステム」だ。

「東京ガス」が取り組んでいる「みまも~る」は、高齢者がガスを使用した場合、携帯電話などのメールでリアルタイムで通知してくれる。「象印マホービン」の「みまもりほっとライン」は、無線通信機能を内蔵した「電気ポット」の使用状況を知らせてくれる。

 最近は、高齢者の暮らしを見守りながら、健康増進にも役立つサービスも登場している。医療機器メーカー「日本光電工業㈱」(東京・中野)の「ウェルケア事業推進部」小竹敦司課長が言う。

「弊社の見守りシステム『みまもりテレケアシステム SUKOYAKA』は、センサーによって部屋の環境をモニタリングし、それを離れて暮らすご家族などにお知らせします。また、活動量計を用いた健康増進を助ける機能もついています。データの送信先は最高20人までです」

 その仕組みはこうだ。本体である「ホームステーション」を、一番長く生活している部屋に設置しておく。すると5メートル範囲で24時間、温度、湿度、照度がモニタリングされる。

 外出する際は、付属の活動量計をカバンなどに忍ばせると、歩数や外出時間が記録される。帰宅後、それを「ホームステーション」に差し込むと、あらかじめ登録された携帯電話、パソコン、スマートフォンなどにデータが送信される。価格は税別で本体設置料が8万9800円、月額使用料2980円だ。

 ただし、どんなに優れた見守り機器があっても、最後に頼るのは人力になる。送られてきたデータから危険を察知したらすぐに対処できるよう、日頃からホームヘルパーや近所の住民、所轄の役所との付き合いを大事にすることだ。