危ない 薬の勘違い

頭痛薬を“月10回以上”飲んでいると頭痛になりやすい体に

(C)日刊ゲンダイ

 薬局では、時に頭痛薬を毎日服用している方に出会います。私も、頭が痛い時は何事にも集中できず、痛み止めが欲しくなります。頭痛薬を毎日飲まないといけないような方は、どんなにしんどいでしょうか。

 しかし、月に10回以上も頭痛薬を服用している方は注意してください。またひどい痛みを経験したくないからと予防的に頭痛薬を服用したり、ちょっとした痛みでもすぐに頭痛薬を飲んだり……。そうした飲み方をしていると、「薬物乱用性頭痛」という頭痛が起きやすい体になってしまうことがあるのです。薬物乱用性頭痛になってしまうと、薬を中止することが大変です。「頭痛が起きるのに、頭痛薬が飲めない状態」を乗り越えなければならなくなります。

 頭痛薬には危険な副作用もあります。胃炎や胃潰瘍だけでなく、腎臓の血流を落として腎障害を引き起こしたり、体内で分解された頭痛薬が肝機能障害を起こすこともあるのです。また、アルコールと一緒に摂取すると毒性が上がりますので、絶対にしてはいけません。

 市販薬も医薬品です。使用法によっては重篤な副作用が起こることもあります。自由に購入して使用できることは、危険な一面もあるのです。

 市販薬といえども、その危険度によって分類され、薬局で販売記録をとる時代に変わってきました。「購入しにくくなる」という声もありますが、利便性と安全性のどちらを優先すべきでしょうか?

 頭痛薬に限らず、一般的には薬を服用して一時的に良くなってもまた症状を繰り返したり、原因がわからない場合は、原則受診が必要です。正しく医薬品を使用するためには、ぜひとも医師や薬剤師に相談してください。

金田崇文

金田崇文

1979年、東京都生まれ。千葉県立船橋高校を経て岡山大学薬学部を卒業。2004年からこやま薬局(岡山県)に勤務。管理薬剤師を務めながら、各地で薬や健康をテーマにした講演活動を行っている。