糖尿病患者さんにとって、お酒とは「控えるべきもの」とのイメージが強いのではないでしょうか。それでも、お酒を飲みたい時もありますし、仕事の付き合いでどうしても飲まなければいけない時もあるでしょう。
お酒の種類によって血糖値の上がり具合に差があるのでしょうか。それを検討した論文が、生物・医学分野のオープンアクセスジャーナル「PeerJ」(2016年4月4日付)に掲載されました。
この研究は、ビール、焼酎、日本酒、ミネラルウオーターを比較して、血糖値の上がり具合を検討したものです。対象となったのは、平均28.8歳の健常者6人(男性3人)でした。それぞれの飲料を別々の日の夕食時に飲んでもらい、飲む前と、飲んでから1、2、12時間後の血糖値を測定し、血糖値の上昇具合を比較しています。
その結果、飲んでから1~12時間において、最も、血糖値が上昇しなかったのが焼酎でした。
お酒には「蒸留酒」と「醸造酒」があります。醸造酒は米や麦、ブドウなどを酵母により発酵させて造るお酒です。日本酒、ビール、ワインなどがこれに該当します。穀物や果実由来の糖質を多く含んでおり、血糖値は上がりやすいものと思われます。
一方、蒸留酒は醸造酒を蒸留して造ります。アルコール分だけを蒸発させ、それを集めて造るため、含まれている糖質が少なく血糖値が上がりにくいものと考えられます。蒸留酒には焼酎のほか、ウイスキー、ブランデーなどが該当します。
もちろん、お酒の飲み過ぎは肝臓などに負担をかけますし、焼酎を何で割るかというのも重要な問題です。糖質の多いジュースで割ってしまっては、せっかくの焼酎でも血糖値は上がってしまうでしょう。血糖値が気になる人はお酒の割り方にも気を配りましょう。
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