なりやすい病気は血液型でわかる

蚊の種類によって“好みの血液型”があるってホント?

海外からの持ち込みによる流行が警戒される
海外からの持ち込みによる流行が警戒される(C)日刊ゲンダイ

 蚊に刺されやすい人と、ほとんど刺されない人がいます。蚊は人間が出す二酸化炭素に引き寄せられます。汗の臭いに反応するという研究結果もあります。しかしそれだけでなく、ABO血液型の好みがあるらしいのです。

 ABO血液型は、赤血球の表面に結合している「糖鎖」と呼ばれる物質の種類によって決まります。糖鎖は砂糖の親戚のような物質ですが、A型、B型、O型によって、その化学構造が少しずつ異なっています。ちなみにAB型の糖鎖はなく、赤血球にはA型糖鎖とB型糖鎖の両方が結合しています。

 これらの糖鎖は赤血球表面だけでなく、実は人体のいたるところに使われているのです。たとえば、胃や腸の細胞表面にも結合していますし、口腔内の粘膜細胞にも結合しています。血液型がA型の人はすべてA型糖鎖が使われていて、B型の人はB型糖鎖が使われている、といった具合です。唾液から血液型が分かるのは、ツバに血が混じっているからではありません。粘膜細胞から剥がれ落ちた血液型糖鎖が混じっているからなのです。

 皮膚細胞にも血液型糖鎖が使われています。つまり我々の皮膚表面は、血液型糖鎖で覆われているわけです。蚊はそれを感知して、好みの血液型を選んでいるらしいのです。アフリカで蚊の消化管の内容物を調べたところ、O型の人が人口割合以上に多く吸われていることが分かりました。また、生身の人を使って腕に蚊がとまる頻度を調べる研究でも、「O型がもっとも好まれる」という結果が出ています。O型は非O型と比べて2倍ほど蚊に刺されやすいようです。

 とはいえ、これらはマラリアを媒介するハマダラ蚊の場合です。日本にはほかにヤブ蚊、イエ蚊、ヒトスジシマ蚊、コガタアカイエ蚊などが生息しており、それらに血液型の好みがあるかどうかは、まったく分かっていません。

 蚊はさまざまな感染症を媒介する厄介な昆虫です。日本では〈表〉に示した6種類について、海外からの持ち込みによる流行が警戒されています。媒介する蚊の種類が異なるので、それぞれの血液型の好みが分かれば、個人レベルの予防対策に役立つはずです。