専門医が病気になったら飲む薬

【胃食道逆流症】2日様子を見てもダメなら「PPI」を服用

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 胸やけやゲップは消化器系の症状だが、今や胃食道逆流症という病名でひとくくりにされる。一昔前の逆流性食道炎で、胃酸が逆流することで発症する。食道から胃につながるあたりの緩みは加齢の影響も大きいため、概して50代くらいから症状がひどくなりやすいといわれる。

 胸やけはありふれた症状ながらつらく、すぐにでも薬を飲みたいところだが、聖路加国際病院内科名誉医長で、「西崎クリニック」院長の西崎統氏は、「2日程度は様子を見る」としてこう続ける。

「確かに食道の緩みは原因のひとつですが、それを引き起こすキッカケとして暴飲暴食があります。その余波で、胃酸の逆流にともなう症状が表れるのです。ですから、波が引けば、落ち着くことが少なくありません。その見極めのための期間が2日。それでも症状が治まらなければ、PPIという胃酸を抑える薬のうち、パリエットかタケプロンを飲みます」

 胃食道逆流症は、脂っこい食事や食べてすぐ寝るような生活などで悪化しやすい。メタボ化の今、若い人も発症しやすく患者数が増加傾向にあるが、そういう悪習慣の改善でよくなることも往々にしてある。

「服用期間は最大8週間ですが、大体10日も服用すればよくなります」

 売上高上位30薬品のうち3つがPPIだ。患者数の増加も売り上げ増の要因のひとつだろうが、患者がよくなっても漫然と服用を続けているせいもあるかもしれない。薬を飲むにしても、必要最小限にとどめるのがプロの知恵だ。