漢方達人をめざせ!

アトピー性皮膚炎のしつこいかゆみを鎮める

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「アトピー性皮膚炎でステロイドを塗っているけれどやめたい」といった相談を受けることがよくあります。

 ある40代の男性も、20年以上使っていたステロイドをやめ、体質改善のために漢方薬を飲み始めました。当初は顔がパンパンに腫れたり、浸出液が出たりするなど大変で、1週間おきに薬局へ来て、症状に応じて細かく漢方薬を替えていきました。半年近くたった最近は、ようやく落ち着いてきました。

 かゆみがひどい時によく用いたのは、当帰飲子梔子柏皮湯などです。かゆみは、場合によっては痛みよりも耐え難く、我慢するとストレスになり、よりアトピー性皮膚炎を悪化させます。2種類の漢方薬によって、かゆみそのものを抑えるのに加え、ストレス要因をなくせます。

 皮膚が赤く、ジュクジュクした状態の時は、竜胆瀉肝湯。漢方の古典といわれる中国の医学書「薜氏十六種」に収載されている漢方で、排尿時の痛みや残尿感、尿の濁りなど排尿の異常にも効果があります。

 この男性には処方しませんでしたが、たとえばお子さんなどでは体力をつける柴胡清肝湯や小建中湯を出すこともあります。

 漢方薬は「人」と長く付き合い、手を替え品を替えてその人の不調を減らし、体を一番良い方向へ持っていこうとします。一朝一夕では解決しづらいアトピー性皮膚炎においては、漢方薬が向いていると思います。

 今回でこの連載も最終回。漢方薬を上手に利用し、いつまでも元気で若々しく過ごしましょう!

久保田佳代

久保田佳代

父は乳児院院長、母は薬剤師、長女は歯科医、次女は眼科専門医という医療一家に産まれたが、昨今の臓器医療である西洋医学とは違い、人に向き合い、カラダとココロの両面から治療が行える漢方を志し20余年経つ。昭和薬科大学卒業、老舗漢方薬局を経て、「氣生薬局」開局。サプリメントアドバイザー、漢方茶マイスター、日本プロカウンセリング協会1級など多数資格取得。「不妊症改善における実力薬局100選」に選ばれている。