良医が警告 やめてはいけないクスリ

精神安定剤や睡眠剤を急にやめると強い離脱症状が出る

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ベンゾジアゼピン系の精神安定剤と睡眠剤は、1980年代から急速に使われるようになった薬だ。エチゾラム(商品名・デパス)やトリアゾラム(同・ハルシオン)はその代表で、特にエチゾラムは、非常にシャープな効果を示して、精神科や心療内科のみならず、内科や整形外科など他の診療科でも幅広く処方されてきた。

 しかし、最近この薬の使用を制限する動きが、世界的に始まっている。日本でも、精神科や心療内科の医師はあまりこの薬を使用せず、他の診療科の医師の方がたくさん処方する、という逆転現象が生じているのだ。

 なぜベンゾジアゼピンの処方が制限される流れになっているのか。人気医師ブログの著者で「北品川藤クリニック」(東京・北品川)の石原藤樹院長が言う。

「この薬の持つ依存性や、薬の乱用などの問題がクローズアップされるようになったからです。ただ、今この薬を飲まれている方が、急にやめることは絶対にしてはいけません。薬を急に中止することで、不眠や不安感が増悪するなど、強い離脱症状が起こる恐れがあります」

 それでは、どのようにしてベンゾジアゼピンをやめればいいのか? 

「これには徐々に薬を減量していく『漸減法』と、他の薬に置換してから減量していく『置換法』の2つの方法が有効とされています。漸減法というのは、今飲んでいる薬の処方量の10分の1ずつを、2週間ごとに減らすなどの方法で、ゆっくりと薬の量を減らしていき、中止に至るという方法です。錠剤を粉薬にするなどの方法で、量を調整します」

 置換法は、ホリゾンのような、より長時間作用型で、離脱症状の出にくいタイプの薬にいったん置き換えてから、その薬を減量して中止に至るという方法だ。どちらの方法がより安全で有効であるかは、個人差もあるため、一概には言えないという。

「ベンゾジアゼピンを長期使用されている方は、まず主治医に、処方の必要性と中止が可能であるかどうかをご相談下さい。その上でもし中止が可能であれば、慎重にその方法を検討してください。くれぐれも勝手に中止することのないように。医師との二人三脚で薬をやめることが重要なのです」