これで痛みを取り除く

【痛風】発作があるうちに尿酸値を下げると痛みが長引く

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ある日、突然、関節が赤く腫れあがり、激しい痛みに襲われる「痛風」。多く(70%)は足の親指の付け根の関節に起こり、安静にしていても「キリでえぐられる」「ペンチで挟まれる」などと表現される激痛が続くため、病院へ直行というケースが多い。

 原因は、血中の尿酸値が高く、溶け切れない尿酸の結晶が関節に沈着すること。ストレスや激しい運動、尿酸値の急激な変動などがきっかけとなり、沈着した結晶が関節の中に剥がれ落ちる。白血球がそれを排除しようとして関節炎(痛風発作)が起こるのだ。

 痛風治療のエキスパートで、「長瀬クリニック」(東京・板橋区)の長瀬満夫院長が言う。

「足の親指の付け根の関節に起こりやすいのは、足は体温が低く尿酸が溶けにくいうえ、親指はぶつけやすかったり、体重負荷がかかるので酸性に傾くからです。結晶が沈着しやすいのです」

 痛風発作の痛みを取るには、非ステロイド性抗炎症薬(エヌセイズ)を短期間に大量に服用する。腎機能が悪かったり、喘息がある場合には、副作用で悪化させる恐れがあるのでステロイド内服薬を使う。

「エヌセイズの服用の仕方は、1日3回までで3時間ごとに1回(6時間以内に3回)飲みます。痛みは、その日のうちにかなり抑えられ、多くは2~3日以内でほとんど消えます」

 しかし、尿酸値が高い高尿酸血症のままだと再発する。尿酸値が「9(㎎/dl)台」だと5年以内に痛風発作を起こすリスクは60%、「8(同)台」だと30%、「7(同)台」では10%とされる。高尿酸血症の治療は尿酸降下薬を服用(1日1~2回飲む)して、尿酸値「6(同)以下」を目指す。ただし、治療を始めるのは痛風発作が十分に治まってからだ。

「尿酸の結晶は、家の屋根に積もった雪にたとえることができます。急激に溶かしてしまうと、積もっている雪がドッと落ちてきてケガをしてしまいます。それと同じように、痛風発作があるうちに急激に尿酸値を下げると、痛みが治まらず長引いてしまうのです」

 そのため、尿酸降下薬の服用は少ない量から開始し、徐々に増やしながら、3~6カ月かけて維持量を決定するのがポイントになる。尿酸値を「6(同)以下」に上手にコントロールできていれば、痛風発作の再発はなく、その他の合併症(腎障害、痛風結節、尿路結石)も防げるという。