これで痛みを取り除く

【関節リウマチ】朝の手のこわばりを感じたら即薬物治療

 関節リウマチは、関節に炎症が起こり、軟骨や骨が破壊されていく病気。本来なら細菌やウイルスなどから体を守ってくれている免疫の働きに異常が生じ、誤って自分の細胞や組織を攻撃してしまう自己免疫疾患だ。なぜか、女性の発症が男性の約4倍(全体の8割)と圧倒的に多い。関節リウマチに詳しい「長瀬クリニック」(東京都板橋区)の長瀬満夫院長が言う。

「大半は手や足の第2関節と第3関節の炎症から始まります。朝起きてしばらく手の指の関節が思うように動かない“朝の手のこわばり”があれば、典型的な初期症状です」

 炎症が続くと次第に関節が腫れ上がり、動かさなくても激しい痛みが表れる。体の関節の左右対称に症状が出るのも特徴だ。放置してさらに進行すると、骨や軟骨が破壊されて、関節の脱臼や変形が起きてくるという。

「関節リウマチは、かつてはゆっくり進行し、10年以上かけて関節が破壊されると考えられていました。しかし近年、発症直後から関節の破壊が急速に進行することが分かってきました。ですから、腫れや痛みの強さに関係なく、遅くても発症から1年以内に治療を開始して進行を食い止めることが重要になります」

 治療のベースとなるのは、原因である免疫異常に作用して進行を抑える「抗リウマチ薬」。合成薬とバイオ薬(生物学的製剤)とがあるが、第1選択薬は「メトトレキサート」を中心とした合成薬(内服薬)だ。ただし、一般に効果が出るまでに1カ月から半年くらいかかるので、非ステロイド性抗炎症薬やステロイド薬を併用しながら腫れや痛みを取り除く。

「合成薬を使って効果が不十分な場合には、バイオ薬を加えます。この薬は皮下注射か点滴になりますが、自己注射が可能なので必ずしも外来で受ける必要はありません」

 治療効果を見るポイントは3つ。「関節の痛みがない」「血液検査による炎症反応が正常」「画像診断で骨の破壊の進行が止まっている」。このすべてがクリアできていれば、寛解(炎症が落ち着き進行が抑えられている)と考えていいという。

「いまのところ関節リウマチの根治はできません。しかし、抗リウマチ薬は合成薬もバイオ薬もたくさんの種類があるので、それを組み合わせることでほとんどの患者さんは骨の破壊の進行を抑えることができます」