これで痛みを取り除く

立ち仕事の多い人が発症 「下肢静脈瘤」の根治治療は3つ

 立ち仕事の多い人が発症しやすい「下肢静脈瘤(りゅう)」。足の静脈の血液の逆流を防ぐ弁が壊れ、足の血管がボコボコと浮き上がる。足に「だるさ」「むくみ」「痛み」「かゆみ」「こむら返り」など、さまざまな症状が表れる。ふくらはぎの血管に炎症が起こり、赤く腫れて痛い「血栓性静脈炎」を合併することも少なくない。

 治療の基本は、圧のかかった弾性ストッキング(弱圧~中圧まである)をはく「圧迫療法」。圧迫によって静脈拡張を予防し、血液の逆流を減少させる。国際医療福祉大学三田病院・血管外科部長の小櫃(おびつ)由樹生教授が言う。

「軽症であれば、日中に弾性ストッキングをはくだけでも症状は改善します。静脈炎を合併した場合には、消炎鎮痛剤(内服、シップ、軟こう)を併用して治します。ただし、静脈炎は繰り返すことが多く、頻発するようなら手術や血管内治療による根治療法の対象になります」

■ストリッピング手術と血管内治療の再発率は10~20%

 根治療法は、主に3つ。①血管の内部に針金のような器具を入れ、静脈ごと引き抜く「ストリッピング手術」(1日入院が基本)②レーザーや高周波を発する細い管を静脈内に通し、内側から血管を焼きつぶす「血管内治療」(日帰り)③足を2~3カ所、小さく切開して静脈を縛る「結紮(けっさつ)術」(日帰り)がある。

 これらの方法に、静脈に薬を注射して血管を固める「硬化療法」や、小さく切開して静脈を取り除く方法などを併用する場合もあるという。

「今の主流は血管内治療ですが、静脈の拡張が幅10ミリ以上だったり、膨らんだ瘤(こぶ)の形態などによっては適応にならない場合があります。血管内治療とストリッピング手術の成績は同じくらいで、再発率は10~20%ほどです」

 結紮術の再発率は若干上がって15~25%くらい。しかし、他と比べて手術時間が短い、術後の痛みが少ないなどのメリットがある。治療費(片足)も3割負担で血管内治療が約4万5000円、ストリッピング手術は3万円台、結紮術は約1万円と違う。

 これらを総合的に検討して、適応になる治療法から患者が選ぶことになる。

「根治療法を受けたあとも、立ち仕事をする人は再発予防のために弾性ストッキングをはくことを勧めます。購入費用は自費になり、ハイソックスタイプで3000~4000円ほどです」

 ふくらはぎの筋肉を動かす足の運動やマッサージなどのケアも、再発予防になるという。