当事者たちが明かす「医療のウラ側」

抗がん剤はコーラと飲むと吸収力が高まる?

 がん治療の知識が多少なりともある人なら、「タルセバ」(一般名、エルロチニブ)という抗がん剤の名前を聞いたことがあると思います。肺がんの8割を占める非小細胞肺がんの治療薬で、現在は膵がんにも使われます。

 タルセバは胃のpH(ペーハー)によってその効果が大きく変わるという特徴があります。胃のpHが高くなれば吸収率が低下し、pHが低くなると吸収率が高くなるのです。

 タルセバを服用する患者さんの多くは「プロトンポンプ阻害剤」と呼ばれる消化器薬を飲んでいます。抗がん剤の副作用である胸焼けを防止するためです。しかし、このプロトンポンプ阻害剤を服用すると、胃のpHが高くなるという問題があります。

 そのため、せっかくのタルセバの吸収が悪くなり、効き目が十分ではありませんでした。

 そこで、タルセバの吸収力を高めるものの登場が期待されてきました。いま、この難題を解決するものとして期待感が高まっているのが「コーラ」だといいます。

 欧州臨床腫瘍学会で、「タルセバをコーラで飲んだ場合と水で飲んだ場合を比較したところ、コーラの方がタルセバの吸収が良かった」との報告がなされています。

 試験は、7日間エルロチニブをコーラ250㏄と同時に服用した後、さらに7日間水で服用し、吸収量を調べました。逆に、最初の7日間は水と一緒に飲み、後の7日間をコーラで飲む実験も行いました。患者の半分は評価の3日前からプロトンポンプ阻害剤を服用しました。

 面白いのは、コーラ以外の炭酸飲料も試したが、なぜかコーラほどの効き目がなかったそうです。

 この先、コーラが医薬品として扱われる時代がくるのでしょうか?