長時間労働が健康に良い影響を与えないことは理解しやすいと思います。最近は、勤務時間だけでなく勤務形態によっても健康への影響が異なるのではないかと指摘されています。
勤務時間が固定されず、日ごと、あるいは一定の期間ごとに勤務時間が異なる、いわゆるシフト勤務の労働者は、規則的な生活を維持することが難しいのが現実です。就寝時間や食事をとるタイミングも一定ではなく、健康に悪そうなイメージがあります。そもそも不規則な生活は、糖尿病など生活習慣病のリスクといわれていて、「長時間労働と糖尿病の関連を勤務形態ごとに解析」した前向き観察研究が、日本疫学会誌(2016年9月号)に掲載されています。
この研究は、2003年4月~2004年3月の間に健康診断を受けた35歳以上の男性公務員(シフト勤務者824人、非シフト勤務者2371人)が対象となりました。アンケート調査に基づき、労働時間を週に「35~44時間」「45時間以上」に分類し、長時間労働による糖尿病発症リスクを勤務形態ごとに検討しています。なお、「飲酒習慣」「運動習慣」「喫煙状況」など、結果に影響を与えうる因子は統計解析で補正しています。
約5年間の追跡調査の結果、シフト勤務者では労働時間が週に35~44時間の人に比べて、45時間以上の人で約2・4倍、統計的にも有意に糖尿病の発症リスクが高いことが示されました。一方、非シフト勤務者では糖尿病のリスクは増加せず、むしろ減少傾向でした。
シフト勤務で長時間仕事をされる方は、糖尿病の発症リスクが高いという結果になっており、乱れがちな生活習慣に注意が必要です。
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