病院は本日も大騒ぎ

常連の入院患者さんに指名してもらった

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 関東圏の総合病院で副看護師長を務めています。

 入院病棟には、「酸素吸入器」をはじめ、各病室には「痰吸引器」、パルスオキシメーターといわれる「動脈血中酸素飽和度測定器」(脈拍などをモニターする機器)などが設置されています。ベッド脇には、私たち看護師が24時間、神経をとがらせている「ナースコール」のボタンもあります。

 こうした医療機器の扱いについて、看護師は患者さんに注射をするのと同じくらい何度も講習を受けます。

 しかし、若いころは使い方に慣れていないことでトラブルを引き起こすことがあります。私も「痰吸引器」を入れる角度や深さを間違えて、患者さんの喉に傷をつけてしまった過去があります。すぐに医師を呼んで処置していただきましたが、当時の師長から大目玉をくらいました。

 いまと違って素直だった私は、「看護師に向いていないのでは……」と、すごく反省しました。そして、二度とミスは繰り返さないと心に決め、先輩看護師にやり方を何度も教わりました。おかげで、同期の中では一番吸引がうまくなりました。

■モチベーションは上がるがお金にならない

 今でも、ミスをとがめられて厳しく注意された看護師が、トイレで泣いている姿を見かけます。

 私は下手に慰めたりはせずに、心の中で“大丈夫、あきらめずに頑張れば信頼される看護師になれるよ”とエールを送るようにしています。

 面白いもので、まじめにやっていると評判が評判を呼んで“お得意さま”ができてきます。入院してきた患者さんが、看護師を指名することがあるのです。

 毎年、定期的に入院してくる患者さんは、ほとんどの看護師と顔なじみになります。

 誰がどの患者さんの担当看護師になるかは上司が決めるのですが、常連の患者さんの中には総師長クラスの幹部看護師と交渉して、「私の担当看護師さんをAさんにしてくださいませんか」と希望を出す人がいるのです。まるで売れっ子ホステスみたいですが、看護師にとってこれは凄くうれしいこと。おばさん看護師でも、患者さんが私を信頼してくれているな、と思えるのです。

 ただし、指名をもらっても、手当が出るとか人事考課が良くなってお給料やボーナスが上がるわけではありません。