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腎臓<1>沈黙の臓器が悲鳴 なぜ秋に腎臓の負担が増える?

汗が減ると“沈黙の臓器”は忙しくなる
汗が減ると“沈黙の臓器”は忙しくなる(C)日刊ゲンダイ

 体は季節に応じて変化し、それぞれの季節を快適に過ごせるようプログラムされています。

 冬は神経系が、春は生殖器系、初夏~梅雨は消化器系、夏は呼吸器系、そして秋は泌尿器系が活発化して、体のバランスをとります。

 腎臓の仕事は主に血液をろ過して、尿として老廃物を捨てることです。夏は、老廃物が汗として出ていくので、腎臓の負担は少なくてすみますが、秋になって汗が減ると、尿を大量に作って老廃物を体外に出さなければなりません。秋に腎臓の負担が増える理由です。

 むろん、朝晩の冷えも影響します。気温が下がると血管が収縮し、血圧が上がりやすく、腎臓に負担がかかるのです。

 腎臓には4つの働きがあります。

 ①尿を作る②体のなかのバランスをとる③血圧を調整する④ホルモンを作る、などです。

 逆に言うと腎臓の働きが悪くなると、この4つの機能が損なわれ、体の不調を招きます。

 ただし、腎臓は“沈黙の臓器”といわれており、なかなか異変に気付きません。そこで「起床時に目が腫れぼったい」「靴がきつい」「体重が急に増えた」「尿が泡立っている」などという人や、健康診断で「尿タンパクや尿潜血が陽性」「血圧が高い」「お腹回りが大きくなった」「中性脂肪や悪玉コレステロールが多い」などの指摘を受けた人は、秋こそとくに気を配らなくてはならないのです。

(松尾内科クリニック・松尾孝俊院長)