病院は本日も大騒ぎ

入浴介助で手袋は許されるのか?

 関東圏の病院に勤務して25年になる看護師のヨウコです。

 私が若い頃、戸惑ったことのひとつに入浴介助がありました。ひとりで入浴できない患者さんの体を洗って差し上げるのですが、その際に「手袋をしていいのか」「いけないのか」ということが、現場によってまちまちだったので判断に迷ったものです。「手袋をしたままではお湯の熱さもわからないし、患者さんも不快に思うのでダメ」という上司もいれば「下を洗うこともあるし、感染症対策で手袋をするのは当然」という人もいます。

 いまなら、感染対策として手袋は当然だし、その方が患者さんの汚れを気にせず体の隅々まで洗ってあげられるので良いことだとわかります。だって、陰部はもちろん、うんちがついた肛門やアカだらけの足の指の間なども洗うのです。素手で洗うのはやはり抵抗感がありますよ。しかし、看護師になりたての頃はよくわからず、素手で洗っていました。患者さんによってはごくまれに素手で洗うこともありますが、基本は手袋です。

 入浴介助については看護師の間でさまざまな「伝説」が語られます。その典型がある中堅看護師の話です。彼女は、看護師になってすぐ手術室付きとなり、入浴介助の仕事など一度もしたことがなかったそうです。ところがあるとき、入浴介助を頼まれた。患者さんと浴室に行った。

 しかし、何をしたらいいのかわからない。仕方なく患者さんに、まず何をしたらいいですか? と聞いたところ、患者さんは「(サンダルを)脱ぐんだよ、当たり前だろう」と言ったそうです。するとその看護師はユニホームをするすると脱ぎ、看護帽子と下着姿になったそうです。むろん、患者さんも居合わせた先輩看護師も唖然。「あ、あなた何をしているの!」との先輩看護師の金切り声で騒ぎになったそうです。

 あまりによくできた話ですので創作かもしれません。いまならこんなうぶな看護師さんはいないでしょうが、かつてはこういう話がホントに聞こえるほど素直な看護師さんがたくさんいたのです。