めまいが起こる病気はたくさんある。
診療科別でみると、脳神経外科なら「脳卒中」など、内科であれば「低血圧や低血糖」など、精神科なら「心因性めまい」。
しかし、めまいの原因の70%を占め、最も多いのは耳鼻咽喉科領域の病気だ。耳鼻咽喉科・日本橋大河原クリニック(東京)の大河原大次院長が言う。
「手足のマヒやロレツが回らないなどの症状を伴うめまいの場合には、脳の病気が疑われるので、すぐ救急車を呼ぶ必要があります。しかし、高血圧や糖尿病などの基礎疾患がきちんとコントロールされているのに起こるめまいは、たいがいは耳の病気が原因です」
代表的なものは、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、突発性難聴、前庭神経炎など。
めまいには、周囲がグルグル回る「回転性めまい」と、体がフワフワするように感じる「浮動性めまい」があるが、これで病気の種類を見分けるのは難しいという。
「耳が原因のめまいが疑われたら、まずやってもらいたいのは、枕を少し高くして横になり、安静にすることです。衣類やベルトをゆるめて、リラックスすることが大切です。枕を高くするのは、平衡感覚をつかさどっている三半規管は前方に30度くらい傾いているので、それを水平に保つためです」
良性発作性頭位めまい症もメニエール病も症状が軽ければ、この対応で治まることが多いという。また、メニエール病や突発性難聴であれば、必ず片側の耳に難聴・耳鳴りを伴うのが特徴だ。
「めまいが強い場合には吐き気が起こります。患者さんとしては、それがつらく、ビックリしてしまいます。しかし、めまいによる吐き気は車酔いや船酔いと同じで自律神経の反射で胃腸が刺激されて起きているので、過剰に心配する必要はありません」
もし、家庭内に乗り物酔いの薬(トラベルミンなど)があるようなら、それを服用しても応急処置になるという。主成分は「抗ヒスタミン薬」で、市販薬と処方薬では含有量が違うが、医療機関でもめまい症状の薬として処方されている。
「耳が原因のめまいの場合には、あわてなくても大丈夫です。安静にして様子を見てください。ただし、翌日になってもめまいや難聴、耳鳴りが残るようなら、すぐ受診した方がいい。突発性難聴だと、発症から2週間以上経ってしまうと治療をしても難聴が残ってしまいます」
受診までの「応急処置」